俺の選んだ道
…シェリル。
ベッドで眠っているシェリル。
その傍で看病していたらしい桐島さんの近くにはランベリアの他の生徒もいた。
…と言うことは、ここは医務室なのかな?
多分そうだと思う。
…見た感じ、医師っぽい人も沢山いるし。
試合で倒れた僕とシェリルは、
意識を失っている間に医務室まで運び込まれたのかもしれない。
「桐島さん。シェリルは…シェリルは無事なんですか?」
「ああ、心配はいらない。シェリルの怪我も栗原薫という名の少女が治療してくれたよ。絵里香がいれば絵里香に頼むところだったんだが、『きみも知っての通り』絵里香はここには来れないからね。」
………。
桐島さんの言葉を聞いた瞬間に僕の心の中で確かな不安が渦巻いてしまった。
「本気…なんですね?」
「ああ、それが俺の選んだ道だからな。」
「で、でも…。」
「ああ、分かっている。全てを分かったうえで選んだんだ。」
………。
桐島さんが選んだ道。
その内容を僕は知っている。
…と言うよりも。
僕だけが知っていると言うべきかもしれない。
…今では倉嶋絵里香さんも知ってるだろうけど。
桐島さんは『とある事情』でこの場所にいるんだ。
…だからこそ。
これからが本番になる。
僕の努力はここから始まるんだ。
…だけど。
今はそれよりもまず先に確かめることがある。
個人的な事情に関して話し合う前に、
僕は僕の仲間達に現在の状況を問い掛けることにしたんだ。




