悔いはないよ
「この試合は僕の勝ちだっ!!そしてシェリル…きみの無敗記録は…ここで終わる!」
必死の想いで立ち上がってからすぐに、
倒れているシェリルに向けて勝利を宣言すると。
「し、試合終了ですっ!!!!!」
係員が試合の終了を宣言してくれた。
「勝者はグランバニア魔導学園の澤木選手ですっ!!!!」
…良し!
倒れたシェリルと立ち上がった僕の二人を交互に眺める係員が待ちに待った言葉をようやく宣言してくれた。
「最下位決定戦第1回戦の初戦はグランバニア魔導学園の勝利ですっ!!!!」
…やった!
これでもう思い残すことは何もない。
…きみに勝ったよ。
…シェリル。
僕はシェリルに勝った。
その事実さえあれば満足だった。
…少しはきみの期待に応えられたかな?
シェリルの想いは分からない。
…だけど。
これで僕は僕の願う結末に一歩だけど近付けた気がするんだ。
…悔いはないよ。
決して格好良くはなかったかもしれない。
シェリルに認めてもらえるような完璧な試合なんかじゃなかったかもしれない。
だけどこれが僕の精一杯で。
これが僕の結果だから。
…後悔はしないよ。
ちゃんと最後まで戦い抜いた。
その事実だけを胸に抱きながら、
意識を失って試合場へと倒れてしまった。




