歯痒い想い
…ぐっ!?
「ぁ…あああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ…っ!!!」
シェリルが最後に放った魔術の全てを受け止めた瞬間。
猛烈に荒れ狂う爆風が僕の体を空高く舞い上がらせていた。
…力が弱っているはずのに。
…それなのにこの威力なのかっ!?
予想していた以上の破壊力によって意識が飛びそうになってしまう。
だけど。
…ここで倒れるわけにはいかないんだっ!!
シェリルに負けることは出来ない。
引き分けなんていう結果を認めるわけにはいかないんだ。
…僕は!
…僕はっ!!
最後まで堪えきってみせる。
そして必ず勝ってみせる。
…僕は、負けないっ!!
必死の想いと気力だけでシェリルの攻撃に堪えながら懸命に意識を維持し続けた。
…シェリルっ!
攻撃に耐える最中で、
視界の片隅にシェリルの姿が映った。
…シェリル!?
意識を失って試合場に伏しているシェリルの体からは真っ赤な血が溢れ出して、
周囲に夥しいほどの血だまりを作っているのが見えてしまったんだ。
…シェリルっ!!!!!
死の危機にあるシェリル。
だけど僕の体はシェリルの攻撃によってシェリルから遠ざけられようとしている。
「シェリル…っ!!」
届かない声と届かない想い。
どれほど手を伸ばしても届かない距離に歯痒い想いを感じてしまうのに。
それなのに僕の体は再び場外へと弾き飛ばされてしまったんだ。




