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THE WORLD  作者: SEASONS
5月13日
4073/4820

僕の使命

…さあ、始めよう。



「皆様お待たせいたしました!!ただいまより下位決定戦、第1回戦を始めさせていただきたいと思います!!!」



「「「「「おおーーーーっ!!!」」」」」


「頑張れーーーーっ!!!」」」」」



係員の宣言によって盛り上がりをみせる会場だけど。


僕達にとってはあまり嬉しくない状況であって、

負ければ負けるほど惨めな立場に追い込まれていく試合になる。



…これ以上、学園の順位を落とすわけにはいかないんだ。



グランパレスを有する首都グランバニアにとって、

自分達の町の魔導学園が初戦敗退という事実だけでも十分過ぎるほどの汚名のはず。


だからこれ以上の降格は避けなければいけないんだ。



…僕のせいでグランバニアが弱いなんて思われるわけにはいかないからね。



何よりも今までお世話になった進藤学園長に申し訳がたたない。



…優勝は逃してもグランバニアの面子を潰すわけにはいかないんだ。



ジェノス魔導学園には負けても他の学園にまで負けるわけにはいかない。



…シェリルには悪いけど。


…ここは僕達が勝たせてもらうよ。



シェリルを倒して試合も勝利する。


そうすることでグランバニアの面子は守られるんだ。



…今までお世話になった恩を仇で返すわけにはいかないからね。



大会上位校としての意地と名誉だけは守る必要がある。



…それも僕の誇りだよ。



年間制覇の夢は御堂龍馬に託しても、

グランバニアの名前は最後まで守り抜くつもりでいる。



…それがグランバニア魔導学園を率いる僕の使命だからね。



学園を代表する立場として勝利だけを目指し続ける。


そんなふうに考える僕が深く息を吐いて呼吸を整える間にも係員の進行は進んでいく。



「グランバニア魔導学園とランベリア多国籍学園はどちらも大会の上位校ですが、不運にも組み合わせの結果で初戦敗退という結果を迎えてしまいました。ですが彼等の実力は決して下位組ではありませんっ!!」



係員の発言によって会場の熱気が高まっていく。



「ジェノス魔導学園を率いる御堂龍馬選手をあと一歩で撃破できるというところまで追い込んだ澤木京一選手とエスティア魔術学園を率いる上矢遥選手を撃破したシェリル・カウアー選手の実力には目を見張るものがあります!!」


「「「「「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!!」」」」」



僕とシェリルの紹介がされた直後に、

これまでにないほど盛大な声援が各所から聞こえてきた。



…凄いな。



御堂龍馬との決戦もなかなかの熱狂だったけれど。


今ここで聞ける歓声も決してひけをとらないと思う。



…それだけ僕達の実力が認められてきたってことかな?



事実は分からないけれど。


これだけ応援をしてもらえると気分は向上してくる。



…この状況での決戦か。



誰もが応援してくれる中でのシェリルとの決戦。


この戦いは僕にとって一生の思い出に残る大切な試合になると思う。



…負けないよ、シェリル。



心の中で勝利を誓う僕の耳に。


「それでは下位決定戦の第1回戦第1試合を始めますっ!!!」


試合開始の宣言が届いた。



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