私の命よりも
「フォーエバー!!!!」
残された最後の魔力と譲れない想いを込めて自らの命を光へと変えた筑紫美優の運命の一撃は、
降下中の小太陽に深く深く突き刺さって小太陽の動きを完全に停止させてみせた。
「私の命よりも…っ!叶えるべき願いがあるのよ!!」
全ては澤木京一のために。
そのためだけに。
「私の命を…捧げるわ!」
筑紫美優は自らの命を犠牲にして鈴置の魔術を貫いた。
…ちっ!
…どいつもこいつも化け物かっ!
激しい爆音を響かせながら小太陽を貫いた筑紫美優の一撃は鈴置の魔術を打ち破って徐々に破壊していく。
「ふ…ふふ…っ。これが…私の力よ…。」
自らの想いを実証するために。
そして自らの役目を果たすために。
「賭けは…私の勝ちよ…。」
自らの命を犠牲にして小太陽を破壊した筑紫美優は、
誇らしげな表情を浮かべながら力を失って試合場に倒れ込んでしまった。
「…凄いわね。」
小太陽の破壊に成功して倒れた筑紫美優をまっすぐに見つめながら、
鈴置は手にしているルーンをそっと解除した。
「貴女の想いは見せてもらったわ。」
決して譲れない想い。
その心の強さを確認した鈴置は筑紫美優との約束通り、勝利を捨てて試合を放棄するようだ。
「試合の勝ち負けよりも…大切なことがあるわよね。だから約束通り棄権するわ。」
力尽きて倒れた筑紫美優に最大級の賛辞を贈ってから、
鈴置は係員の宣言を待つこともないまま試合場を下り始めた。




