俺らしくない行動
「………。」
………。
お互いに何も言えない気まずい状況。
俺と御堂の二人の間に生まれた無言の静寂の時が、
俺達の決裂の瞬間ようにさえ思えてしまう。
…やっぱり俺は表舞台に立つべきじゃなかったな。
御堂の放つ光に惹かれてここまで来てしまったが、
今になって思えば俺らしくない行動だったと思う。
…最初から影に徹していれば御堂に辛い想いをさせなくて済んでいたんだろうな。
俺はどこで道を間違えたんだろうか?
今になってそんなことを本気で考えたくなってしまう。
…いや、止めておこう。
過去を悔やんでも現実は何も変わらない。
すでに起きてしまったこの状況はどう考えても変えられない。
…最初から俺が光に歩み寄れるわけがなかったんだ。
…その事実に気付けたことを前向きに考えるしかないよな。
影は影でしかなく、
光には決して触れられない。
…それが俺の宿命だ。
そして。
…それが俺の選んだ道だ。
俺の手には何も残らなくていい。
ただ俺が見つめる世界に優しい光が注いでいてくれればそれだけでいい。
「御堂…。」
「ん?」
「勝手なことをして悪かったな。」
「…あ、ああ。良いんだよ。淳弥には淳弥の考えがあるだろうからね。だけど、だけどそれでも…。」
…それでも?
言葉の続きを気にして御堂の言葉を待っていると。
「それではただいまより第1回戦第4試合を始めます!!」
試合場の中央で試合開始を宣言する係員の声が周囲に響き渡った。




