普段は馬鹿なくせに
「何を悩んでるのかは知らないけど。あんまり考えすぎるとハゲるわよ?」
………。
…これは優しさじゃないよな?
どう考えても俺に喧嘩を売ってるとしか思えない。
「常々思うんだが、お前は俺に不満でもあるのか?」
「はぁ?ないと思ってるの?」
………。
あるわけないと思いながらも苛立ちを押さえながら問い掛けてみたんだが、
里沙は全力で俺の考えをぶち壊してくれた。
「裏でコソコソと何を企んでるのか知らないけど!どうせ卑怯なことばかりして向こうの対戦順でも調べあげたんでしょ!?」
…っ!?
…な、何で分かるんだ!?
「ほらやっぱりそうじゃない!どうもおかしいと思ってたのよね!那岐知美が作戦に失敗したようなことを言ってたから、もしかしたらと思ったけど。そんな卑怯なことをしてまで勝ちたいわけ!?」
「い、いや…それは…っ。」
「それは、何よ!?反論できるなら言ってみなさいよっ!!」
…くっ!
言えるわけがなかった。
…くそっ。
…こういう時ばかり変に勘が良すぎるだろっ!!
普段は馬鹿なくせに、
こういう時にばかりイタいところをついてくる。
…ちぃっ!
…まさか里沙に感づかれるとはな!!
御堂にばかり気を取られていて里沙のことは気にしてなかった。
「正々堂々と戦って勝つ!それが勝負でしょっ!!良い淳弥!?今後一切そんな卑怯なことは許さないわよ!やるからには正々堂々と全力で立ち向かいなさい!!もしもそれが出来ないって言うのなら、私があんたを叩きのめすわっ!!」
…ちっ。
「分かったよ。もうやらねえよ。それで良いんだろ?」
「当然でしょ!!次は絶対に許さないからねっ!!」
…くそ。
盛大に騒いで大声で怒鳴り続けた里沙は、
言いたい放題に言ってからすぐに俺を放置して百花の治療を終えた雪に歩み寄って行った。




