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THE WORLD  作者: SEASONS
5月13日
4032/4820

作戦?

「3戦目には御堂龍馬が出てくると思っていたのに、予想が外れたわね。」



………。



意味深な発言をしながら試合場に姿を現した那岐知美は、

開始線に立ってから里沙と対峙した。



「もしかしてこちらの作戦が読まれていたのかしら?」


「はぁ?作戦?そんなの知るわけないでしょっ!」



…まあ、里沙ならそういうだろうな。



事実として里沙は何も知らないからだ。



澤木京一達が考えた作戦に関して里沙に問い掛けていた那岐知美だが、

全く何も知らない里沙は俺の予想通りにはっきり知らないと言い返していた。



…あいつに裏工作なんて無理だからな。



俺が教えていないということもあるが、

それ以前に里沙は面倒な策略なんて一切興味を持たない性格だ。



…だけどな。



那岐知美の推測通り、

俺は澤木京一達の作戦を完全に把握している。



…ただ単純に対戦順を決めてるわけじゃねえんだぜ。



魔術大会は基本的に3戦目が重要視される。


1試合目と2試合目で連敗した場合、

後半の仲間に繋げることが出来るかどうかは3試合目で負けないことが最も重要になるからだ。


だからこそ澤木京一達は3試合目に御堂が出ると推測していたはず。


そしてその3試合目をあえて捨てることで、

最も危険な御堂と主戦力の澤木京一の対決を回避しようとしていたんだ。



…試合内容よりも確実に勝ち上がるための戦略だな。



御堂との決着よりも優勝を目指した澤木京一の決断は戦争を勝利へと導いた軍師としての才能を感じさせる部分がある。



…だが、そうはいかねえぜ。



グランバニア魔導学園の作戦を調べあげた俺は、

御堂との試合を回避した澤木京一に御堂をぶつけるためにあえて御堂の出番を後半に回していた。



…御堂を成長させるっていう任務があるからな。



向こうがどんな作戦を考えているとしても、

御堂と澤木京一の試合は確実に実現させなければならない。



…お互いに一勝さえすれば4試合目に試合を繋げることが出来る流れだ。



その4戦目には鈴置を配置しているんだが、

対する筑紫美優との試合の行方は全く想像がつかないでいる。



…ここで里沙が負けると危うい賭けになるよな。



最悪でも引き分けてくれれば5戦目にまで持ち込めるんだが。



…どうだろうな?



意気込む里沙がどこまで頑張ってくれるのか?


百花の一敗を巻き返すつもりで戦いに挑む里沙が本当に勝てるのかどうか?



…すげえ不安だよな。



あまり期待しないほうが良い気がしてきた。



「とりあえず試合場を下りるぞ。」



傷口の手当が終わった百花を抱き上げてから雪と一緒に試合場から離れると。


「それではただいまより第1回戦、第3試合を始めたいと思います!!!」


係員が試合の進行を開始しようとしていた。


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