表も裏も
「さあっ!いよいよ開戦です!!年間制覇を目指すジェノス魔導学園と年間制覇の阻止を目指すグランバニア魔導学園の因縁の対決は一体どちらの勝利で終わるのか!?決勝戦同然とも言えるこの試合に誰もが注目する中で、ついに運命の試合が始まります!!」
「「「「「おおおおおおおおおおおおおっ!!!!!!」」」」」
試合を盛り上げようと大袈裟に叫ぶ係員に煽られて観客席から歓声が上がるが、
それでも盛長康平の表情は一切変化しなかった。
…完全に試合に集中してるようだな。
余計なことは考えずに、
ただ俺だけを視界に捕らえているのが分かる。
…どうやら向こうは本気のようだな。
先ほどの宣言通り油断も隙もなかった。
…大した戦士だ。
単純な試合ではなくて命の奪い合いを前提とした目をしている盛長康平の気迫が心地よく感じられる。
…そうだよな。
…それでこそやり甲斐があるってもんだよな。
単なる遊びではない覚悟。
全力での戦いを望む盛長康平のおかげで、
俺も全力をだすことが出来そうだ。
…こうなったら表も裏も関係ねえ。
…全ての力を使って叩き潰してやるぜ!
お互いに手加減は必要ない。
そんな想いを通い合わせる俺と盛長康平の間に立つ係員が大きな動きで右手を空へと掲げてみせた。
「ジェノス魔導学園からは長野淳弥選手!!対するグランバニア魔導学園からは盛長康平選手!!双方共に準備はよろしいですね!?」
すでに戦闘状態にある俺と盛長康平を見て最後の確認をとってくれているが、
今更言うべきことは何もない。
…早く始めようぜ。
「それでは試合を開始します!!」
…ああ。
係員が掲げた右手を一気に下へと振り下ろす。
「第1回戦、第1試合!始めっ!!」
…良し!
…行くぜ!!




