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THE WORLD  作者: SEASONS
5月13日
4013/4820

より深刻な状況

「ただいま、みんな!」



明るい声で呼び掛けながら歩み寄ってきたのが誰かなんて考える必要もないだろう。



…やっと来てくれたかっ!



この状況を打開できるのはやっぱりあいつしかいない。



「遅いぞ御堂っ!」



ついつい不満を口に出してしまう俺に対して、

御堂は苦笑いを浮かべながら一度だけ小さく頭を下げてくれた。



「ごめん淳弥。成美ちゃんと話をしていたらギリギリになっちゃってね。」



…あ、いや。



「まあ、それは良いんだけどな。」



御堂がどこで誰と会っていようとそれ自体はどうでもいい。


とりあえずは今のこの状況を打開してくれればそれだけで良かった。



「まあ、間に合ったから良いんだが、常盤成美と森下千夏はどうしてるんだ?」


「二人とも観客席から見てるよ。」



俺の質問に即座に答えた御堂は2階の観客席を見上げてからすぐに二人の居場所を指差した。



「あそこにいるよ。」



…ん?



「ああ、そうみたいだな。」



言われてすぐに確認してみると、

最も近い観客席に二人の姿が見えた。



…だが、それよりも、だ。



話題の二人のすぐ側に慶太と姉貴の姿が見えたことが俺にとってはより深刻な状況だった。



…マジで観戦するのか。



これで俺の退路は断たれたことになる。


こうなってしまったらもう前に進むしかない。



…しゃあねえか。



今さら愚痴を言っても現実は変えられないからな。


優勝という結果に向かって突き進む以外に道はないようだ。



「とにかくグランバニアを撃破するぞっ!」



気合いを込めて試合場へと視線を向けると、

向かい側の敵陣に澤木京一達が姿を見せていた。



「向こうもやる気満々だな。」



闘志を感じさせる威圧感が澤木京一達から感じられる。



「おふざけはここまでだぜ。」



雪と里沙に軽く警告してから試合場に向かって一歩を踏み出す。



「試合順は俺が決めさせてもらう。文句はないな御堂?」


「ああ、僕は何でも良いよ」



御堂ならそう言うと思っていた。



「なら初戦は俺が出る。ついでに試合順も俺が決めて提出しておくから、御堂達はここで大人しく出番を待ってな。」



いかにもやる気があるかのように強気な態度を見せながら試合場へと歩きだした俺は、

すでに用意していた表を係員に手渡してから試合場に上がった。



…向こうの試合順は調査済みだからな。



偵察をしてから今までの数分間の間に変わっていなければ、

初戦には盛長康平が出てくるはずだ。



…こっちは向こうの試合順に合わせて出場順を決めたからな。



予定通りに進めば俺の思惑通りに試合は進むはず。



…さあ来いグランバニア。



「ふん。誰が相手だろうと叩き伏せるまでだ。」



大会初参加の意気込みも含めてグランバニア魔導学園を眺める俺の視線の先で、

予定通りに盛長康平が試合場に向かって歩きだしていた。


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