伝えたい言葉
《サイド:深海優奈》
「ん~、まあ、そんな感じかな!」
話を終えた悠理ちゃんは、笑顔を見せて笑いました。
「面白い話じゃないから、さくっと忘れちゃってください」
無理にでも明るく振る舞おうとする悠理ちゃんですが、その元気はどこから来るのでしょうか?
私なら…
私ならきっと笑うことが出来ません。
家族に見捨てられたらきっと…。
私ならきっと笑えません。
だから。
今の悠理ちゃんは凄いと思います。
心の中に絶望を抱えているはずなのに。
それを感じさせないように笑顔を浮かべる悠理ちゃんがとても強く感じるんです。
「悠理ちゃん」
「ん?」
呼び掛ける私に微笑んでくれる悠理ちゃんの笑顔からは絶望は感じられません。
でもきっと…。
これはきっと偽りの笑顔です。
悠理ちゃんの本当の笑顔はきっと違うと思います。
今はまだ本心を隠した表向きの笑顔だと思うんです。
だから…。
悠理ちゃんの笑顔は、とても悲しいもののように感じてしまいました。
出来ることなら本当の笑顔を見てみたいです。
悠理ちゃんの本当の笑顔を見てみたいんです。
そう思うからこそ。
悠理ちゃんに尋ねてみることにしました。
「ねえ、悠理ちゃん。これからもずっと、友達だよね?」
何故そんな質問をしたのか自分でも分かりません。
ですが、聞かなければいけないようなそんな気がしたんです。
「何言ってるのよ。当然でしょ!」
断言してくれた悠理ちゃんの言葉が凄く嬉しく思えました。
例えホンの少しだけでも悠理ちゃんの心の支えになれていると思えたから。
それだけで嬉しく思えたんです。
例え家族に頼ることができないとしても、
私や先輩達には心を開いてくれていると思えたんです。
そのことがすごく嬉しかったんです。
だから例え今はまだ見れないとしても。
笑顔を浮かべながら私と向き合ってくれる悠理ちゃんの笑顔が、
いつか本当の笑顔になれる日がくることを…私は信じたいと思います。
「ねえ、悠理ちゃん」
「ん~?」
まっすぐ私を見つめてくれる悠理ちゃんに、
どうしてもこの言葉だけは伝えておきたいと思いました。
「ずっと、ずっと一緒にいようね」
想いを言葉にした瞬間に。
「うん!!」
悠理ちゃんの瞳に微かに涙が浮かんだような、そんな気がしました。




