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盗聴
…ふぅ。
里沙達を放置してから大会の会場を離れた。
そして姿の隠しやすい通路にこっそりと身を潜めながら、
澤木京一の魔力の波動を追跡することにした。
………。
………。
…どうやら仲間と揃って行動してるみたいだな。
澤木京一を含む主力の5人と補欠1名を含めた6人全員がまとまって行動しているのは偵察を開始してからすぐに把握できている。
「もう少しだけ先だな。」
すぐに試合場に向かわずに一旦通路まで戻った澤木京一達の行動の理由は分からないが、
下手に馴れ合うのを避けるために時間をおいたのだと考えれば試合場に向かわない理由は納得できる。
…実際にどうかは分からないけどな。
他人の考えなんて分かるわけがない。
だからこそ偵察に来てるわけだが。
「見付けたぜ。」
偵察を開始してから僅か数分。
グランパレスの通路の一角において、
捜し求めていた澤木京一の姿を発見した。
…さて、と。
…色々と聞かせてもらおうか。
気配を消しながらゆっくりと通路を進む。
そして澤木京一達の死角となる支柱の裏に身を潜めながら盗聴を始めることにした。




