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ああ、そうか。
「それじゃあ、私も行ってきます。」
「ああ、ゆっくりでいいぞ。」
「ええ、ありがとう。」
「…ねえ、淳弥。」
…あ?
御堂が動き出したことで即座に後を追う鈴置も俺達の側から離れた直後に、
今度は里沙が話し掛けてきた。
「ちょっと頼みあるんだけど…。」
「ああ、そうか。」
「は?そうかって、まだ何も…」
「ああ、いや、悪いが今は話を聞いている暇がないんだ。」
「はぁっ!?」
「俺も少し出掛けて来るから里沙達は先に試合場で待っててくれ。」
「な…っ?ちょ…っ!?」
「じゃあなっ!!」
有無を言わせずに里沙の発言を遮った俺は、
里沙が暴れだす前に全速力で逃げることにした。
「またあとでなっ!」
「ちょっ!待ちなさい淳弥っ!」
…待つわけねえだろ!
里沙が大声で叫んでいるが、
構っている時間なんてもちろんない。
…一人で勝手に暴走してろ!
背後で叫ぶ里沙は放置して全力で逃走することにした。




