Epilogue深海優奈の誓い
…総魔さん。
総魔さんがどう思っているのかは分かりませんけど。
私達はとても長くて。
とても淋しい時間を過ごしてきましたよね。
誰にも助けを求められずに。
誰にも関わることができずに。
孤独で静かな時を過ごしてきましたよね。
大切な人達の想いを。
残された人達に届けるためだけに。
苦しみや悲しみに耐え続けて。
命を削りながら。
ただ一心に守りたい人達のためだけに。
終わりの見えない戦いをずっと続けてきましたよね。
そうして大切な人達の想いを届けるべき人達の心に届けることはできました。
…だけど。
だけど私は思うんです。
総魔さんが届けたい想いや。
総魔さんに届けたい想いは。
まだ何も解決していません。
総魔さんはいつも自分の役目ばかりを考えて、
自分を犠牲にしながら誰かのために生きていますけど。
だけど、それだけだときっと。
総魔さんだけはいつまで経っても幸せにはなれないような気がします。
それは私にはどうにも出来ない難しい問題なのかもしれませんけど。
だけど、それでも思うんです。
総魔さんの幸せを願ってしまうんです。
総魔さんを愛しているから。
総魔さんを想っているから。
だから私は他の誰よりも総魔さんに幸せになってほしいと思っています。
今はただ、それだけを願っているんです。
…ねえ、総魔さん。
総魔さんは自分自身をどう考えているのですか？
私は総魔さんの幸せも考えたいです。
だけど私は翔子先輩の代わりにはなれませんし。
翔子先輩のように愛を証明することさえ出来ないかもしれません。
私は臆病で弱虫で。
誰かに助けてもらわなかったら生きていけないような情けない人間だから。
だから翔子先輩のように明るくて素敵な女性にはきっとなれません。
…ですが。
…ですがそれでも。
それでも総魔さんを好きでいても良いですか？
この想いは永遠に言葉には出来ないかもしれないけれど。
それでも総魔さんを想っていても良いですか？
言葉にしてしまえばとても簡単なことさえ言えない私ですが、
これからも総魔さんのお傍にいさせてほしいです。
誰よりも強くて。
誰よりも優しくて。
誰よりも苦しんで。
誰よりも孤独な人だから。
だから私が支えたいんです。
誰にも本当の心を見せられなくて、
辛くて淋しい場所にいる総魔さんを守りたいんです。
だから他には何も望みません。
お家に帰りたいとか。
お父さんやお母さんに会いたいなんて願いません。
私だけが幸せになることは出来ないから。
私だけが守られていることは出来ないから。
…だから今は。
…せめて私だけは。
総魔さんを支えられる人間でいたいです。
…総魔さんのことが好きだから。
…今でもずっと愛しているから。
だから。
…総魔さん…
…私は…
…これからも…
…貴方を愛していたいから…
…だからずっと…
…これからもずっと…
『お傍にいます』
これで優奈編も終わりです。
基本的には説明ばかりなので、
戦時中の裏話がほとんどになってしまいました。
そして優奈に関しては…続編で判断してもらうのが一番かと思います。
決して翔子の代わりにするつもりはありませんが…。
優奈には優奈の役目があるという感じです。
