逆だ
…さて、と。
出発の準備を整えてから部屋を出た私と総魔さんは、
ひとまず1階に移動しました。
「これからどうしますか?」
「そうだな。朝食を済ませてからグランバニアに向かおう。」
「あ、はい。分かりました。それじゃあ今日も食堂に行きますか?それともどこか別の場所に食べに行きますか?」
「いや、ここで良い。あまりのんびりとしていられる時間はないからな。」
…え?
「そうなんですか?」
「大会の日程は覚えているか?」
…あ、はい。
「開催は決定していますので、明日と明後日に行われるんですよね?」
「ああ、そうだ。だからこそ急ぐ必要がある。」
「大会を観戦するんですか?」
「いや、そうじゃない。逆だ。」
…逆?
「大会が明日に開催されるということは、つまり今日の午後には各学園から参加者が集まるということだ。」
…あっ!
言われてみれば確かにそうです。
栗原さんも会場に行くと言っていましたので、
32の学園から沢山の参加者がグランパレスに集合してしまいます。
「確実に知り合いに遭遇してしまいますよね。」
「ああ、そうだ。だからこそ、そうならないためには夕方までに全てを終わらせておく必要がある。」
…ですよね。
ここで私達の存在がばれてしまったら、
これまでの計画が一瞬で破綻してしまうからです。
「少し急いだほうが良いですよね。」
「ああ、早急にカリーナから出立しよう。」
「はい。分かりました。」
そういうことならのんびりとしている場合ではありません。
ひとまず今日の予定が決定したことで、
私達はギルド内の食堂へ向かうことにしました。




