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THE WORLD  作者: SEASONS
5月11日
3887/4820

今は無理ですけど

…うわぁ。


…思っていたよりも広いですね。



宿泊用に借りたお部屋は思っていたよりも広くて、

設備も十分すぎるほど揃っているようでした。



「なんだか普通に生活出来そうなお部屋ですよね。」


「ああ、そうだな。」



………。



室内を見渡す総魔さんに緊張している様子は見えません。


私と二人きりでも全く動揺するようなそぶりを見せない総魔さんは、

堂々とした態度で部屋の中央にあるテーブルの席に腰を下ろしていました。



…この場合は喜ぶべきなのでしょうか?



変に意識されると私も困ってしまうのですが、

だからと言って全く気にしてもらえないというのもそれはそれで落ち込んでしまいそうです。



…はふぅ。




自分でもどうすれば良いのかが分かりません。



…とりあえず、考え過ぎは良くないよね。



必要以上に動揺していると、

総魔さんに不審に思われてしまいます。



そうならないように気を付けなければいけないのですが、

考えないようにしようと思えば思うほど余計に考えてしまいそうです。



…深呼吸。


…深呼吸。



出来る限り自然に行動できるように落ち着こうとしたところで。



「優奈も少し休んでおけ。しばらく休憩をとったら食事に出かけるぞ。」


「あっ、は、はいっ!」



総魔さんに話しかけられて慌ててしまいました。



…お、おち、落ち着かないとっ。



いつまでも戸惑っている場合ではありません。



「わ、分かりました。」



ひとまず返事をしてから、

私も席について身体を休めることにしました。



ですが。



…そう言えば?



今まであまり気にしなかったのですが、

今日はまだ何も食べていなかったのでお腹がぺこぺこです。



…総魔さんもそうですよね?



「夕食はどうするんですか?」


「優奈が食べたい物でいい。宿泊に費用がかからなかったからな。食事に使える程度の余裕はある。」


「あ、あの…っ。その…っ。す、すみませんっ。」


「いや、気にするな。優奈の荷物を御堂に押し付けたのは俺だからな。優奈が謝る必要はない。」



…で、でも。



「気にするな。」



…は、はい。



「分かりました。」



ない物はどうしようもないので、

今は素直に甘えさせていただこうと思います。



「今は無理ですけど、いつかお返しさせていただきますね。」


「ああ、そうだな。」



…はい。



どうにか私のお願いを受け入れてもらえたことで、

ひとまずお金に関する相談は終わりました。


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