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今更と言われれば
2階に上がってから通路を進んでいくと、
目的の281号室を見つけることが出来ました。
「ここですね。」
「ああ。」
先行していた私が部屋の前で足を止めたことで、
総魔さんが受付で預かった鍵を使って扉を開けてくれました。
「入るぞ。」
「は、はいっ。」
…少しドキドキします。
今更と言われれば今更ですが。
総魔さんと二人きりで同じ部屋に泊まると思うだけで、
自然と心臓の鼓動が早くなってしまいました。
…二人きり、なんですよね。
砦にいた時は総魔さんはずっと眠っていました。
だからこうして二人で宿泊するのは今回が初めてです。
…ちょっと恥ずかしいかも。
外にいる時とは違って、
室内で二人きりと考えるだけで顔が赤くなってしまいます。
…と、とりあえずっ。
中に入らないことには話が進みません。
「は、入りますね。」
扉を開けて待ってくれている総魔さんに一礼してから急いで室内に入りました。




