雰囲気が怖くて
「ここで宿泊できると聞いてきたんだが、部屋は空いているか?」
…うわ~。
一歩も臆することなく、
堂々とした態度で質問出来る総魔さんが素直にすごいと思います。
…私はちょっと。
お姉さんの雰囲気が怖くて緊張してしまいます。
なので今回は総魔さんにお任せすることにしました。
…よろしくお願いします。
あまり目立たないように心の中でお願いしていると、
今度は受付のお姉さんが総魔さんに質問してきました。
「お部屋はご用意できますけど。お二人でよろしいですか?」
「ああ、そうだ。」
「お二人で一室でよろしければご用意できます。」
「二部屋は無理なのか?」
「申し訳ありませんが、現在はマールグリナから派遣された魔術医師の方々にお部屋をご提供させていただいておりますので、空き部屋が一つしかありません。そちらのお部屋でもよろしければお貸しできますが、どうされますか?」
「…そうか。そういう事情なら仕方がないな。空いてる部屋で良い。」
「分かりました。それではこちらの鍵をお持ち下さい。それと、お部屋を使用していただくにあたって特に必要な手続きなどはありませんが、多くの方々がご使用される公共の設備ですので大切にお使いください。」
「ああ、分かっている。」
「はい。それでは、お部屋は2階にある『281号室』になりますのでご自由にどうぞ。」
「ああ、感謝する。」
お部屋の鍵を受け取ると同時に注意事項も聞いた総魔さんは、
あっさりと受付のお姉さんから離れてから私の手を引いて2階に続く階段へ歩みを進めていきました。




