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THE WORLD  作者: SEASONS
5月11日
3863/4820

準備を整えるまで

…ふぅ。


…ひとまずこの程度でしょうか。



立花さんに関する調査を終えたことで、

秘宝の力を解除してから総魔さんに報告することにしました。



「立花さんもレーヴァを出発して、これからグランバニアに向かうそうです。」


「米倉宗一郎に会うためだな?」


「はい。そのようですね。」


「ようやく動いたか。」


「はい。きっと総魔さんの奇跡のおかげで立ち直れたんだと思います。」



私達にとってもそうですけど。


立花さんにとっても。


穂乃華さんにとっても。



「短い時間でしたけれど。ちゃんと話し合えたから全てが上手くいってるんだと思います。」


「…だと良いが、俺達はきっかけを与えたにすぎない。最終的にどうするかは本人の意思に委ねられるものだからな。立花が立ち直れたかどうかはこれから判断するしかない。」



…それはそうなんですけど。



「御堂先輩に協力してくれるのでしょうか?」


「どうだろうな。上手くいくかどうかは分からないが、二人を繋ぐための橋渡しの準備は整えたんだ。あとは二人の判断に任せるしかない。」



…と言うことは。



「私達はもう何もしなくていいんですか?」


「ああ。力を貸すのは簡単だが、それでは御堂は永遠に成長しないからな。自らの手で願いをつかみ取らなれば意味がないだろう。」



…ええ、そうですね。



「上手くいくかどうかは御堂先輩次第ですよね。」


「ああ、そうだ。それに立花を味方に引き込めないようでは共和国の代表は務まらないだろう。最低限その程度の問題は自力で解決出来るようにならなければ、例え代表になっても地位を失うのは時間の問題だ。」



…は、はい。



確かにそうかもしれません。



私や総魔さんが協力するのは簡単なのですが、

それではこれから先もずっと御堂先輩を陰から支え続けなければいけないからです。



ですがそれでは御堂先輩の成長は望めません。



自分自身の力で努力して望むべき未来をつかみ取らなければ、

その先の未来を手に入れることは出来ないんです。



「あくまでも準備を整えるまでが私達の役目なんですね。」


「ああ、そうだ。それ以上の協力は必要ない。何もかもお膳立てしなければ辿り着けない頂点では、単なるお飾りでしかないからな。」



…はい。


…そうですね。



与えられた地位や用意された舞台では何の価値もありません。


本当の意味でこれからの共和国の未来を想うのなら、

御堂先輩自身に未来を切り開いてもらわなければ計画が成功したとは言えないんです。



「あとは祈るだけですね。」


「そうだな。ここから先は御堂次第だ。」



…はい。



立花さんの説得と交渉は御堂先輩に委ねることになりました。



…頑張ってください。


…御堂先輩。



最終的にうまくいくことを祈りつつ。


ひとまず私達は次の目的のためにカルナック山脈の南下を急ぐことにしました。


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