一人で照れながら
「立花様…。」
「穂乃華…。」
お互いの名前を呼び合って。
お互いの瞳を見つめ合って。
お互いの想いを伝え合いながら。
二人は強く強くお互いの体を抱きしめ合っていました。
「これからも強く生きてください。それだけが私の願いです。」
「あ、ああ…。約束する。」
「はい、ありがとうございます。」
立花さんが穂乃華さんの願いを聞き入れたことで、
穂乃華さんは立花さんを見上げたままそっと瞳を閉じました。
「最期に、一つだけわがままを言ってもいいですか?」
「ああ…。そうだな。」
穂乃華さんが瞳を閉じただけで、
立花さんは穂乃華さんの想いに気づいたようですね。
「せめて最後は…。」
真剣な眼差しで穂乃華さんを見つめながら、
立花さんは穂乃華さんと唇を重ね合わせました。
「………。………。………。」
長く長いキスです。
…うわぁ~。
見ている私のほうが照れてしまうくらい激しいキスでした。
…み、見ないほうがいいですよね?
お互いの体を強く抱きしめ合う立花さんと穂乃華さんのキスは、
呼吸をすることさえも忘れてしまいそうなくらい情熱的に見えました。
…これは。
…見てるだけで恥ずかしいですね。
思わず視線を逸らしてしまいましたが、
二人のキスはまだ続いているようです。
…ど、ど、どうしようっ!?
特に何かをしなければいけないような理由はないのですが、
ただ何となく居心地の悪さは感じてしまいます。
…は、早く終わってほしいですっ。
きっと私の顔は真っ赤だと思います。
頬が熱くて自分でも真っ赤なことが分かるからです。
…ま、まだ、かな?
少しだけ視線を向けてみると。
…うわ~。
二人はまだキスを続けていました。
…そんなに激しくしなくても。
もっと優しいキスで良いのにと思うのは私の勝手なのでしょうか?
出来れば早く終わって欲しいのですが、
状況が状況なので二人にとってはまだまだ足りないのかもしれません。
…ちょっぴり居づらいかも。
少し挙動不審になりながら周囲を見回してみると。
…さすがに総魔さんは動じてないですね。
総魔さんは全然変わらない表情で二人のキスを眺めていました。
…恥ずかしくないのかな?
私はもうすでに直視なんて出来ませんが、
総魔さんは全く気にしていないようです。
…とりあえず今は待つしかないですよね。
二人のキスが終わるまで。
あまり見ないように気を付けながら。
一人で照れながらも大人しく待つことにしました。




