勝手に
午後3時を過ぎた深夜。
ようやく私達はレーヴァに到着しました。
「大きな町ですね。」
ジェノスやグランバニアが小さく思えるほどとても大きな町です。
「戦争の舞台になった町なのに、とても綺麗ですよね。」
今回の戦争によって共和国とミッドガルムの決戦の地に選ばれてしまった町なのですが。
あまり被害を出さないように共和国軍が配慮していたおかげで、
大きな被害は出さずに終戦を迎えたようでした。
…もちろん各施設は壊滅だと思いますけど。
町そのものはほとんど攻撃を受けていないはずです。
「今では平和そうに見えますね。」
終戦からまだ2週間も経っていませんが、
それでもレーヴァの町は落ち着いた雰囲気を取り戻して戦争のない日常に戻っているように見えるんです。
「とりあえず、これからどうするんですか?」
レーヴァに着いたのは良いのですが。
時刻はすでに午前3時を過ぎています。
…さすがにこの時間から宮廷に向かうのは無理がありますよね?
「どこかで一泊してから宮廷に向かいますか?」
「いや、このまま宮廷に向かう。」
…え?
…でも、もう夜中ですよ?
「今からですか?」
「ああ、そうだ。体を休めるのはそのあとで良い。」
「で、でも、もうお時間が…。」
深夜のこの時刻に宮廷に向かっても中に入れてくれるとは思えません。
「宮廷に向かっても追い返されるだけだと思うんですけど?」
「いや、問題ない。」
…え?
…どうしてですか?
宮廷には入れないと思ったのですが、
どうやら私の考えは少し甘かったようです。
「最初から通してもらおうとは考えていないからな。宮廷の警備の隙をついて潜入するつもりだ。」
…あ、そ、そうですか。
中に入れてもらうのではなくて、
勝手に潜入するつもりのようでした。




