季節も移り変わって
…いつかまた、あの頃のように笑える未来がくると良いですね。
全く同じ過去は望めなくても、
新しい未来は望んでも良いはずです。
…悲しみよりも喜びを。
…絶望よりも希望を。
総魔さんにはそんな未来を生きていてほしいです。
そしてこれからも一緒に。
食事をして。
体を休めて。
穏やかな時の中で総魔さんと過ごすこの一時がこれからもずっと続いていきますように。
…これからも祈り続けます。
私はただひたすらに総魔さんの幸せを願っています。
「…今日は良い天気ですね。」
「ああ、そうだな。すでに桜の時期は終わってしまったが、春らしい心地好い天候だな。」
「ええ、そうですね。」
湖の水面にキラキラと反射する太陽の光がとても綺麗で、
何時間でも見ていられるような幻想的な景色に思えました。
「もう春なんですよね。」
ついこの間までは肌寒く感じていたのに、
この2週間ほどの間に随分と暖かくなった気がします。
「少しずつ夏が近づいてるんですよね。」
これからも旅を続けるとすると。
当然ですが季節も移り変わっていくことになります。
「時の流れを感じますよね。」
「ああ、そうだな。決して過去に戻れないように、未来は必ず近づいて来る。だからこそ限りある人生の中で自分に出来ることを進めていくしかない。」
…はい。
…そうですね。
総魔さんの言葉の意味は私にも分かります。
決して長くはない人生の中で何かをしたいと思うのなら、
今という時を精一杯生きなければいけないということです。
…それも、亡くなった人達の分まで生きようと思うのなら。
足を止めている暇なんてありません。
…幸せな未来を手に入れるためには、今を精一杯生きなければいけないんですよね。
そう思うからこそ私も戦えるんです。
総魔さんが立ち向かい続ける限り。
総魔さんが諦めない限り。
私も戦えるんです。
「翔子先輩や沢山の人達に助けてもらったこの命を無駄にしないために、私も精一杯生きたいです。」
「ああ、そうだな。生きることが最大の恩返しと言えるだろう。」
「はいっ♪」
決して死にたいとは思いません。
私は私の命も守り抜きます。
…そして必ず。
総魔さんと二人で生き抜いてみせます。
「これから何があるとしても、私は絶対に死にません。」
決して忘れてはいけない大切な想いをしっかりと伝えました。
そうして昼食を終えた私達は、
暖かな春の日差しを浴びながらゆっくり体を休めることにしました。




