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THE WORLD  作者: SEASONS
5月10日
3828/4820

本物に近い偽物

…みなさん、素敵です。



精霊になった翔子先輩と握手を交わしたあとに隣にいる沙織先輩にも近付いてみました。



「沙織先輩もとても綺麗ですね。」



翔子先輩と並んでも決して見劣りしません。


個人的な価値観では翔子先輩のほうが素敵だと思ってしまうのですが、

御堂先輩から見れば沙織先輩のほうが素敵に見えるのかもしれません。



…だけど。



「どちらも素敵です。」



神聖な光で構成されている沙織先輩の体は、

まるで本当に星が煌めいているような神秘的な輝きを放っていました。



太陽のように明るい翔子先輩とは違って、

淡い星の煌めきのような静かな輝きを感じるんです。



「翔子先輩もそうですけど、沙織先輩も生きているかのように見えますよね。」



存在しないはずの心臓の鼓動が今にも聞こえそうなくらい、

翔子先輩の胸も沙織先輩の胸も微かに動いているのが分かるんです。



…全てを再現してるんですね。



魂という存在を除く、全ての動きや表情が再現されているようでした。



「限りなく本物に近い偽物なんですね。」



実物に近ければ近いほど余計に切なく感じてしまうのですが、

ここまで徹底的に追求しているからこそ生きているように感じられるのかもしれません。



「沙織先輩はどうして総魔さんに協力を願ったんですか?」



御堂先輩のために消えることを選んだはずの沙織先輩が、

どうして総魔さんの精霊になる道を選んだのでしょうか?



「どうして総魔さんの精霊になったんですか?」


「…おそらくは御堂のためだろうな。」



…え?


…御堂先輩のために?



沙織先輩を見つめながら尋ねてみると、

総魔さんは推測で答えてくれました。



「沙織の本心までは分からないが、沙織は消失する直前に協力を申し出てきた。御堂に再会させた礼として、翔子と共に俺の力になりたいとな。」


「翔子先輩と一緒に、ですか?」


「ああ、そうだ。翔子は俺に忘れないでほしいと願って精霊になることを選んだ。」



翔子先輩は総魔さんの想い出に残るために。



「そして沙織は翔子と共に俺の力になりたいと願った。」



沙織先輩は総魔さんの力になるために。



「北条は受けた恩を返すと言って俺の精霊になることを宣言していた。」



北条先輩は総魔さんに恩を返すために。


それぞれの想いを込めて精霊になる道を選んだようでした。



「それじゃあ…?」



米倉理事長はどうして総魔さんの精霊になったのでしょうか?



「米倉理事長はどうして精霊になったんですか?」


「…美由紀とは契約を交わしたからだ。」



…え?



米倉理事長を眺めながら問い掛けてみると。


米倉理事長が精霊になった理由も説明してくれました。


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