空気が重いですね
「…さて、ひとまず僕達の紹介はこれで終わりだけど、他にもまだ聞きたいことはあるかい?」
まだ質問があるかどうかという問い掛けに対して、
総魔さんは静かに首を左右に振っていました。
「いや、特にはないな。」
「そう…。それじゃあ、そろそろ本題に入ろうか。」
交渉を開始しようとする竜崎さんの言葉をきっかけとして、
室内の緊張感がさらに高まっていきました。
…空気が重いですね。
竜崎さん達から放たれる緊張感がヒシヒシと伝わってきて、
黙って会話を聞いているだけの私でさえ少しずつ心臓の鼓動が速くなっていく感じがしました。
…総魔さん。
竜崎さんの言葉に耳を傾け続ける総魔さんは、
静かに竜崎さんの瞳を見据えています。
何も恐れることなく。
何も迷うことなく。
堂々とした態度で竜崎さんと向き合っていました。
…焦る必要はないですよね?
冷静な総魔さんを見つめているだけで私も落ち着くことが出来ました。
…恐れる必要もないですよね?
これからのことは分かりませんが、
総魔さんがいる限り恐れることなんて何もありません。
ただ総魔さんが傍にいてくれるだけで、
それだけで安心できるんです。
…だからこれからもずっと。
…最後までずっと。
…お供します。
ただただ総魔さんの後ろ姿を眺めながら、
竜崎さんの交渉に耳を傾けることにしました。




