あの日の続きを
「無事に目覚めたようだね。」
明るい笑顔を浮かべながら室内に入ってきた竜崎慶太さんが、
長野紗耶香さんと竜崎雪さんを引き連れながら部屋の中央まで歩みを進めてきます。
「紗耶香から報告は聞いてるけど。まさか再会を目前とした状況で警告を受けるとは思ってもいなかったよ。」
…ですよね。
話をする竜崎慶太さんは微笑みを浮かべているようですが、
総魔さんの無事を確認した長野紗耶香さんと竜崎雪さんは少し緊張した面持ちで静かに様子を眺めているようでした。
…さすがに少し空気が重いですね。
竜崎慶太さんだけは明るく振る舞っているのですが、
刻一刻と室内に広がる圧迫感は着実に重苦しい雰囲気を強めています。
…総魔さん。
少し緊張を感じながら総魔さんの後ろに寄り添うと、
総魔さんは一度だけ私に視線を向けてから優しく微笑んでくれました。
「大丈夫だ。心配するな。」
…はい。
総魔さんが大丈夫だと言ってくれるのなら、
私としては信じるだけです。
「お任せします。」
「ああ。」
私との短い会話を終えてから、
総魔さんは竜崎慶太さんに振り返りました。
「早速だが、あの日の続きを話し合おうか。」
「ああ、そうだね。」
総魔さんに対して堂々と答える竜崎慶太さんが私達の向かい側の席に座りました。
「きみ達と僕達の関係を向上させるために、もう一度話をさせてもらうよ。」
再び始まる交渉。
総魔さんと竜崎慶太さんの話し合いがついに始まってしまうようでした。




