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準備は大事
「お母さんっ!」
少し慌てながらお母さんに挨拶をしようとすると、
お母さんは嬉しそうな笑顔で出迎えてくれました。
「おはよう、成美ちゃん。今日も来てくれたのね。」
…あっ、はい。
「遅くなってすみませんでした。」
「ふふっ、良いのよ。成美ちゃんが来てくれるだけですごく助かるから、時間なんて気にしないでね。」
「す、すみません。」
気にしないでと言われても気にしてしまいます。
「えっと、その…。今からですけど良いですか?」
「ええ、良いわよ。いつものエプロンは控室にあるから、着替えがすんだらお父さんを手伝ってあげてくれないかしら?」
「は、はいっ!すぐに着替えてきますね♪」
着替えと言ってもエプロンを着けるだけですけど。
お仕事の準備は大事です。
…せっかくお母さんがくれた服を汚すわけにもいかないしね。
大切な大切なお姉ちゃんのお祝いの服です。
出来る限り綺麗なままでお家に帰りたいと思います。
「行ってきます♪」
お母さんへの挨拶を終えてから、
急いで店内を駆け抜けて奥の控室に向かいました。




