将来のことを
「成美ちゃんが成長していることが実感できてすごく嬉しいよ。」
私を褒めながら、
御堂さんは私の手を握ってくれました。
「ちゃんと成長してるんだね。」
「そ、そうですか…?」
自分では分かりませんけど。
「ちゃんと自分の人生を考えられるようになったことが成美ちゃんにとって一番の成長だと思うよ。」
…ほえ?
…自分の人生を考えられること?
言われてみれば確かに、
私はいつの間にか将来のことを考えるようになっていました。
…今まではただ生きているだけだったのに。
いつの間にか未来を想像できるようになっていたんです。
…昔の私とは違うんだね。
それを成長と呼ぶのかどうかはまだ分かりません。
…ですが。
ちゃんと前を向いて生きられるようになったのだとしたら、
少しは自信をもっても良いのかもしれません。
「私は変わりましたか?」
「ああ、そうだね。とても…とても良い方向に変わったと思うよ。一ヶ月前とは確実に違う。それが成美ちゃんの成長で、誰もが望んだとても素敵な今という結果なんじゃないかな。」
…今という結果?
…そうなのでしょうか?
「良く頑張ったね。」
………。
これまでに経験してきた過去の積み重ねからたどり着いた今というこの瞬間を御堂さんが褒めてくれたことで、
何だか泣いてしまいそうになってしまいました。




