自分自身のために
「一応ね。色々と考えてることはあるんだ。もちろんそれらがちゃんと出来るかどうかは分からないけど。僕は僕自身のために出来ることを一つずつやっていこうと思ってるよ。」
「自分自身のために、ですか?」
「ああ、そうだよ。成美ちゃんも自分自身のことを考えたうえで深海さんのお店で働いてるんだよね?」
…あ、はい。
「それはそうですけど…。」
「うん、そうだよね。だから僕も同じなんだよ。僕は僕自身のために色々とやってみたいんだ。僕に何が出来るのか?僕はどこまで成長出来るのか?その答えにたどり着くために、僕は僕の道を歩きだそうと思ってる。」
「それは…どんな道なんですか?」
「…どうかな。まだ詳しいことは言えないけどね。」
…はう~。
やっぱり教えてもらえませんでした。
…どうするのかな?
御堂さんは何を考えているのでしょうか?
もっと詳しいお話や御堂さんの考えを聞きたいです。
…だけど今ここでは聞けないんだよね。
御堂さんは何も教えてくれませんでした。
「秘密ですか?」
「…そうだね。今はそうなるね。」
やっぱり教えてもらえないようです。
…すごく気になるよ~。
ものすごく気になるのですが、
だからと言って無理に聞き出すなんて出来ません。
…気になるけど。
御堂さんにも御堂さんの人生があるんです。
だから私のわがままで御堂さんの人生に口を出すべきではありません。
…仕方がないんだよね。
これ以上の追求は諦めます。
…だから。
…今は聞きません。
御堂さんを困らせないために何も聞かないことにしました。
「分かりました。もう何も聞きません。」
「ごめんね、成美ちゃん。」
「い、いえ…。御堂さんには御堂さんの考えがあると思いますし。例え御堂さんがどんな道を進むとしても、私は御堂さんを応援し続けたいと思います。」
それが例えどんな道だとしても構いません。
御堂さんが選んだ道なら全力で応援したいと思います。
「これから御堂さんの選ぶ未来が素敵な日々であることを願い続けます。」
「ありがとう、成美ちゃん」
想いを込めて御堂さんの未来を応援すると、
御堂さんは穏やかな表情で微笑んでくれました。




