魔法使いとして
「やっぱり、そうなるのね。」
「出来れば鈴置さんにお願いしたいんだけど…どうかな?」
すぐ傍にいる私でさえ聞き逃してしまいそうなくらい小さな声で呟いた美春さんに、
御堂さんは何も気づかないまま大会への参加を求めていました。
「………。」
これまでとは違って控え目に問い掛ける御堂さんに、
美春さんは何かを悩んでいるかのような複雑な表情を向けています。
「えっと、その…。出場に関して嫌だとかそういうことを言うつもりはありませんけど。私は今でもまだ自分の力を使いこなせていませんので、お役に立てるかどうか分かりませんよ?それでも良いんですか?」
「ああ、大丈夫だよ。鈴置さんはすごく頼りになるし。きっと僕や淳弥よりもすごい才能を秘めていると思うんだ。」
…ですよね♪
御堂さん以上かどうかは分かりませんが、
美春さんが頼りになるのは間違いありません。
「それに魔術師を越えた魔法使いとしてどこまで成長できるのかを僕も見てみたいんだよ。」
…うんうん。
私も美春さんの格好良い姿を見ていたいです。
「鈴置さんにとっても魔術大会という舞台は自分の力を使いこなせるようになるために良い勉強になると思うよ。」
…ああ、なるほど~。
…そういう考え方もあるんですね。
御堂さんは美春さんの成長を含めて戦力として期待しながら協力を願い続けていました。
「他の誰よりもきみの力を借りたい。総魔に匹敵する魔術師として、僕はきみを推薦する。」
「………。…そうですか。」
御堂さんの説得を受けた美春さんは、
少しだけ何かを考えてからゆっくりと小さく頷きました。
「分かりました。どこまで協力出来るか分かりませんが、精一杯の努力はお約束します。」
…やった~♪
これで美春さんの活躍が見られるんです。
…応援に良ければ、だけどね。
まだどうなるかは分かりませんが。
四人目の選抜選手として参加を受け入れた美春さんが協力を約束したことで、
美春さんの応援も出来るようになりました。
…あとは一人だけだよね。
最後の補欠を決めるために、
御堂さんは千夏さんに視線を向けていました。




