全然見えないよ?
百花さんとの挨拶を終えてから室内を見渡してみると、
部屋の中には私を含めて9人が集まっているようでした。
…里沙さんと百花さんがいて。
…由香里さんと長野さんに。
…木戸さんと須玉さんもいるし。
…千夏さんもいるから。
私と美春さんを合わせて9人です。
…みんな元気そう♪
以前と変わらずに、
みんな元気そうに見えました。
「お久しぶりです~。」
「おー。久しぶりだな…っと、どうやら帰ってきたみたいだな。」
一人一人にちゃんと挨拶をしながら室内を移動していると、
窓の外を眺めていた長野さんが御堂さんが帰ってきたことを教えてくれました。
「校門付近で御堂と黒柳所長の波動を感知した…と言うか、町に入った時点で帰ってきてるのは分かってたんだが、特に問題なく学園に戻ってこれたようだな。」
窓の外を眺めながら説明してくれる長野さんですが、
校舎から校門まではすごく距離があるので私にはまだ見えません。
…校門なんて見えないよね?
…検定会場とか大きな建物が多いから全然見えないよ?
校舎の屋上から眺めていると言っても校門までは見えません。
…それなのに長野さんには分かるんだね~。
ちょっぴり羨ましいです。
…う~ん。
…まだすぐには会えないんだね。
…と言うよもりも。
「ここで待っていれば良いんですか?」
御堂さんはここへ来てくれるのでしょうか?
そんな疑問を感じていると、
長野さんが微笑みながら教えてくれました。
「いや、これから場所を移動する。ここはあくまでも集合場所でしかないからな。御堂を迎えるのは学園長室になる。」
「学園長室…ですか?」
「ああ、色々と報告もあるだろうからな。俺達もこれから学園長室に向かうつもりだ。」
…報告?
「報告って何ですか?」
「御堂から何も聞いてないか?一応、魔術大会に関しての打ち合わせでグランバニアに行ってたんだけどな。」
…あっ!
「はい。それなら聞いてます。」
「そうか、それなら話が早いな。大会が開催されるのかどうかは俺もまだ知らないが、その結果の報告と、大会を開催する場合に出場する生徒を決めることになるだろうな。」
…あ~。
…なるほど~。
…魔術大会か~。
「出場出来るのは6人ですよね?」
「ああ、そうだ。基本となる5人に補欠を加えた6人が大会に出場することが出来る。まあ、御堂は当然参加することになるわけだが、残り5人を誰にするのか?という部分が今日の最大の議題だな。」
「大会があれば長野さんも出場するんですか?」
「ん?俺か?俺はどうだろうな…。断る理由はないが、これでも一応は裏の世界の人間だからな。あまり目立つのは避けたいところなんだが…。でもまあ、一度くらいは全力で試合をしてみるのも悪くないとは思うな。」
「出場するのなら全力で応援しますよ~。」
「ははっ。俺が大会に出るかどうかは分からないが、そうなったら全力で優勝を勝ち取ってみせる。やるからには徹底的にやらないと面白くないからな。」
「はいっ!頑張ってください♪」
御堂さんと長野さんがいれば必ず優勝できると思います。
「私も応援に行きますね~。」
「応援は良いが、グランバニアは遠いぞ?」
「大丈夫です♪セルビナやミッドガルムに比べればすごく近いですよ。」
「ははっ。それはまあそうだな。戦場を駆け抜けたことを考えれば、グランバニアくらいは近く感じるだろうな。」
「はいっ!」
より遠くを知ってるから、
少しくらい遠くても全然平気です。
「今から楽しみです。」
「そこはまあ結果報告を聞いてからだな。もうすぐ馬車が校舎に到着するだろうから俺達も学園長室に移動しよう。」
「はいっ!」
「それじゃあ、私達も行きましょうか。」
御堂さんをお出迎えするために長野さんのあとを追って特風会を出ようとしたところで、
里沙さん達や美春さんと千夏さんも学園長室に向かって移動することになりました。




