お仕置きが怖くて
…はう~。
…ちょっぴり懐かしいかも~。
美春さんのあとを追って校舎の階段を上っていくと。
以前に一度だけ見たことのある学園の屋上へたどり着きました。
…この間ここへ来た時は目が見えなかったから。
屋上の景色を見たのは戦争に旅立つ以前の一度だけです。
「何となく懐かしい感じがします。」
「あ~、成美ちゃんはそうかもしれないわね。」
…あれ?
…私は?
…と言うことは?
「美春さんは良く来られるんですか?」
「え?ううん。来ないわよ。前にも言ったけど、基本的に私は部外者だからここへ来ることは全くないわ。この間ここに来たのが最後だから久し振りという意味では成美ちゃんと同じでしょうね。」
…あ~。
…そうなんですか。
…あっ!
「もしかして今日も千夏さんは来てるんですか?」
「ええ。千夏ならもう特風会にいるんじゃない?朝早く起きるのは苦手だって言って私よりも遅く起きたみたいだけど、さすがにこの時間まで寝てるってことはないはずよ。」
…う~ん。
…あ!
「魔力の波動を感じます。」
美春さんに言われてから特風会に意識を向けてみると、
千夏さんの魔力の波動が感じられました。
「先に来てるんですね。」
「まあ来てなかったら全力でお仕置きするつもりだったから、おちおち寝てもいられなかったでしょうけどね。」
…あぁ~。
…なるほど。
早起きは苦手でも美春さんのお仕置きが怖くて一足先に特風会に来ているようでした。
…千夏さんとあとは。
いつもの人達が特風会の中に集まっているようです。
…みんなに会えるのは久し振りだよね。
前回とは違って今回は全員の顔が見れるんです。
ちゃんと向き合ってお話をすることが出来るんです。
…楽しみ♪
色々と考えるだけで楽しくなってきました。
「早くみなさんに会いたいです♪」
「もうすぐ会えるわ。とりあえず、入るわよ。」
「はい!」
「ふふっ。」
先を急ぐ私に優しく微笑んでから、
美春さんは特風会の入口に立ちました。




