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THE WORLD  作者: SEASONS
5月6日
3695/4820

沢山の人達が

…はふぅ~。



自分の部屋に戻ってきてからすぐに大きなため息を吐いてしまいました。



…う~ん。


…疲れてるのかな~?



ケーキを作るのは楽しかったのですが、

慣れない作業が長時間続いていたので自分が思っている以上に疲れているのかもしれません。



…今日はもう早く寝たほうが良いよね。



まっすぐにベッドに向かって腰を下ろすことにしました。



…はう~。



「今日もあっという間に終わっちゃったよ~。」



一日が過ぎていくのが早いと感じるのは今日で何度目でしょうか?



…目が見えなかった頃はこんなふうに感じなかったのにね。



それなのに。


今では一日一日が本当に早く感じます。



…それだけ毎日が充実してるのかな?



きっとそういうことだと思います。


ただ生きているだけの淋しくてつまらない人生じゃなくて、

誰かのために何かをしようと思うことで本当の意味で生きることが出来るんだと思うからです。



「誰かのために…。」



そう思える気持ちがとても大切なんだと思います。



「私にとっての大切な人は…まだまだ沢山いるんだよね。」



お姉ちゃんと翔子さんだけではありません。



お父さんに。


お母さんに。


薫に。


霧華ちゃんに。


御堂さんに。


美春さんに。


沢山のお友達。



それに深海さんのご両親や翔子さんのお母さん。


そんな沢山の人達が私を見てくれていて、

私を大切にしてくれているんです。



…だから。



だからきっと。


私はまだこれからも生きていて良いんだと思います。



お姉ちゃんがどう思うのかはもう分かりませんが、

それでも私は生きていたいと思うんです。



…これからもずっと。



大切な人達のために生きていたいです。



…だからもうもう二度と。



「死にたいなんて思わないよ。」



お姉ちゃんが守ってくれた命です。


お姉ちゃんの分まで生きてみせます。



「これで良いんだよね?」



お姉ちゃんがくれた想いを大切にしたいから。


お姉ちゃんも私が生きていくことを願ってくれていると思うから。



…そう信じてるから。



だから私はこれからも生きていこうと思います。



「ねえ、お姉ちゃん。これで良いんだよね?」



質問を言葉にしてみても、

お姉ちゃんの返事は聞こえません。



…だけどきっと。



お姉ちゃんなら、

優しく微笑んでくれると思います。



『強く生きなさい』って言ってくれると思うんです。



「ねえ、お姉ちゃん。」



お姉ちゃんは笑ってくれるよね?


今の私を見て褒めてくれるよね?



…お姉ちゃん。


…私はお姉ちゃんが大好きだよ。



今でも。


そしてこれからも。



…ずっと大好きだよ。



お姉ちゃんがいてくれたから、

私は生きていられるんです。



…だから。



お姉ちゃんに受けた恩だけはこれからも絶対に忘れないから。



「ねえ、お姉ちゃん。」



私はもう大丈夫だから。


私を心配しなくていいから。



「だからもう、お姉ちゃんはゆっくり休んでね。」



死んでもまだ私を守り続けてくれたお姉ちゃんには今でも感謝しています。



…でもね?



「もう良いんだよ。私はもう大丈夫だから。」



…だから。



「だからもう、安心していてね。」



大好きだったお姉ちゃんに私が出来る恩返しは笑顔でいることだけです。



そして。



もう二度とお姉ちゃんに心配をかけないために。


もう二度とお姉ちゃんを不安にさせないために。



「ちゃんと生きていくよ♪」



どうしても伝えたい想いを言葉にすることで、

少しずつ気持ちの整理をしていきます。



…大丈夫。


…私はもう大丈夫だから。



私はこれからも生きていけます。



「ねえ、お姉ちゃん。私はもう大丈夫だからね。」



届かない言葉を空に向けながら、

ゆっくりと眠りにつきました。


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