提案
「それでね。それでねっ♪」
美春さんとお約束をして、
明日は一緒にお出かけすることになったこともお父さんとお母さんに説明しました。
「明日は学園でお祝いをするんだよ~。」
詳しい内容までは知りませんが、
御堂さんをお出迎えするために里沙さんや百花さん達はお祝いの準備を進めているようなので、
明日は久し振りにみんなに会えるはずです。
「私も行っても良い?」
「ああ。」
「もちろんよ。」
一応、確認してみると、
お父さんもお母さんも笑顔で頷いてくれました。
「お友達は大事にするべきだからな。遠慮せずに行ってきなさい。」
「ふふっ。沢山の人達の前に出るのなら、成美もしっかりと準備しないといけないわね。」
…ほえ?
「準備って何?」
「綺麗な服を着て、少しでも可愛く見えるように身嗜みを整えないといけないでしょう?」
…ん~。
…そうかな~?
戦争に参加していたころのことを考えると服装なんてどうでも良いような気がします。
それにそもそも服装や身嗜みなんて一度も考えたことがないので、
何が良くて何がダメなのかなんてさっぱり分かりません。
「どうすれば良いの?」
「ふふっ。明日の朝までに用意しておくから、成美は朝寝坊しないようにちゃんと起きてくれれば良いわ。」
…はう~。
「そこが一番難しいんだよね…。」
特別な理由で朝が苦手というわけではないのですが、
早起きはちょっぴり苦手です。
「お母さん起こしてくれる?」
「そうね~。朝ごはんも食べないといけないから、明日は6時に起こしてあげるわね。」
「うん、お願い。」
「ええ、良いわよ。」
快く引き受けてくれるお母さんのおかげで明日は寝坊する心配がなくなりました。
「今日は早く寝たほうがいいかな?」
「そうね。そのほうが良いかもしれないわね。」
「いや、その前に一つ提案があるんだが、聞いてくれないか?」
…提案?
明日のために早く寝ることを勧めてくれるお母さんでしたが、
何故かお父さんは私を引き止めようとしていました。




