お手本にして
…やっと3人揃ったね。
午後7時まであと2分というところで、
手を洗って戻ってきたお父さんが私の正面の席に座りました。
「うんうん。良い匂いがするな。やっぱり母さんの手料理が一番だな。」
「あらあら、おだてても何もでないわよ?」
「いやいや、別におだててるわけじゃないさ。本当にそう思うから言葉にしてるだけだよ。」
「うふふっ。」
お父さんに褒められたお母さんは、
とても幸せそうに微笑んでいます。
…やっぱりこうじゃないとダメだよね~。
みんなで笑いあって、
みんなで幸せを感じられるささやかな一時が何よりも大切だと思います。
…これが幸せだよね。
大好きなお父さんとお母さんが幸せでいてくれることが私にとっても幸せで、
とても素敵なことだと思います。
…だからこれからも。
これからもずっと幸せな時間を過ごしていたいです。
「私もシチューを作るのを手伝ったんだよ~。」
「ええ、そうね。成美が手伝ってくれたからすごく助かったわ。」
「成美もいつか母さんのように料理が得意な素敵な女性になれるかもしれないな。」
「うん!」
大好きなお父さんとお母さんを眺めながら話し掛けてみると、
二人とも私を褒めてくれました。
「えへへへ~。頑張るよ♪」
お母さんをお手本にしてこれからも頑張りたいと思います。
「早く食べよ~。」
「ええ、そうね。」
「ああ、そうだな。せっかく作ってもらったシチューが冷める前にいただいてしまおうか。」
「うん!」
それぞれに両手を合わせた私達は、
しっかりと挨拶をしてから出来立てのシチューをいただくことにしました。




