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THE WORLD  作者: SEASONS
5月4日
3618/4820

私は霧華さんが

…えへへへ~。


…優奈さんの鞄だよ~。



深海さんのお店を出てからも楽しい気分で商店街を歩いていると、

自然と視線が『あの場所』に向いてしまいました。



…あっ!


…もしかしたら、まだいるのかな?



「はぁぁぁ…。」



少し緊張しながらも歩みを進めようとしたところで、

何故か背後からあの子の声が聞こえてきました。



「ったく、このお馬鹿はどこまで私に付きまとえば気が済むのよ…。」



…え?


…あれ?



喫茶店に入る前に霧華さんの声が聞こえたので不思議に思いながら振り返ってみると、

やっぱり霧華さんが私の後ろにいるようでした。



「あっ!霧華さんだ~。こんにちわ♪」


「………。」



私としては元気良く挨拶をしてみたつもりだったのですが、

何故か今回も霧華さんは不機嫌そうな感じです。



「…それで、まだ私に用があるの?」


「えっと~。用事はないけど、たまたま通りかかったから挨拶をしてみようかな~って思っただけだよ。」


「はあ?本当にどこまでもお馬鹿ね。そんなくだらない理由で会いにこなくて良いのよ!!」



…え~?



「でも霧華さんとお友達になりたいんだもん。」


「………っ。」



お友達になりたいと言うと、

霧華さんはまた顔を赤くしながら俯いてしまいました。



「照れてる~?」


「う、うるさいっ!!そんなわけないでしょっ!!!」



全力で怒鳴る霧華さんですが、

もう慣れてしまったので全然怖くないです。



「可愛い~♪」


「子供扱いするなっ!!!!」


「え~。でも可愛いよ♪」


「むっかっつっくっ!!!!」


「可愛い~。」


「黙れ、お馬鹿っ!!!」


「やだ。黙らないよ~。」


「くっ!鬱陶しいわね!!」


「だって霧華さんとお友達になりたいんだもん♪」


「だ・か・ら・嫌だって言ってるでしょ!!」


「ええ~?どうして~?」


「馬鹿は嫌いなのよっ!!!」


「私は霧華さんが好きだよ~♪」


「…くっ!?」



私が好きと言った瞬間に、

霧華さんの顔は今まで以上に真っ赤に染まってしまいました。



「やっぱり恥ずかしがり屋さんだね~。」


「うるさい!黙れお馬鹿っ!!」


「やだ~。黙らないもんっ♪」



ちょっとだけ意地悪く微笑みながら、

全力で霧華さんを抱きしめてみました。



「捕まえたよ~♪」


「ん!?なっ!?ちょっ!?」



私の腕の中で暴れようとする霧華さんですが、

運動が苦手な私でも10歳の女の子には負けません。



「逃がさないよ~?」


「このっ!年増はっ!!!あ~っ!もうっ!!これだから鬱陶しいのよ!!!」



逃げ出そうとして必死にもがく霧華さんですが、

霧華さんくらい小さな子なら私でも余裕で勝てちゃいます。



「残念。残念。」


「嬉しそうに言うな~!!!」


「ん~。それじゃあ…諦めて♪」


「なっ!?だから、嫌だって言ってるでしょ!!一回言ったら理解しなさいよお馬鹿~~~!!」



…あ~、うん。



「ごめんね♪お馬鹿だから無理。」


「ちょっ!?」


「とりあえず行こ~♪」


「はぁっ!?何を言ってるのこのお馬鹿はっ!!私を拉致ってどこに行くつもりなのよっ!!!」



…えへへ~。



「霧華さんの行きたいところだよ~。」


「は?馬鹿にもほどがあるわよっ!!って言うか、私の行き先を勝手に決めるんじゃないわよっ!!」


「え~?でも、私に会いに来てくれたんでしょ?」


「はぁ!?何でそうなるのよ!?って言うか、マジで馬鹿過ぎて理解できないっ!!」


「そうかな~?私に会いたくなかったら声をかけてくれたりしないよね?」


「そ、それは…っ!」


「どうして私の後ろにいたの?」


「それは…たまたま…っ。」


「たまたま…何~?」


「う、うるさいわねっ!!」


「えへへ~♪やっぱり会いに来てくれたんだね。」


「ち、違…っ。」


「じゃあ、どうして私の後ろにいたの~?」


「それは…。」


「それは?」


「たまたま…。」


「たまたま?」


「偶然…。」


「偶然、私の後ろにいたの?」


「そ、そうよっ!!!それ以外にどんな理由があるって言うのよっ!!!」



必死に喚く霧華さんですが、

私としてはそうじゃないと思うので、

適当に思い付く理由を言ってみることにしました。



「えっとね~。密かにずっとお店の前にいたとか…?」


「ぐっ!!」



推測で答えた瞬間に、

霧華さんは言葉を詰まらせていました。



…あれ?




「もしかして正解だった?」


「し、知らないわよっ!」



…あぅ~。



霧華さんは本当のことを教えてくれません。


ですがたぶん、本当に正解だったんだと思います。



…もしかして私がお仕事を終わるまで待ってくれてたのかな?



そんなふうに聞いても答えてくれないとは思いますが、

他に理由が思い付きませんでした。



「私を待っていてくれたの?」


「そ、そんなわけないでしょ!!」



必死に否定しようとする霧華さんですが、

ずっと声が震えています。



…動揺してるよね。



だけどそこを指摘してしまうとまた霧華さんが照れてしまうので、

今は黙っておこうと思います。



…とりあえず今は何も言わないほうが良いよね。



それよりもずっと考えていたお友達大作戦を始めたいと思います。



「それじゃあ、行くよ~♪」


「ちょっ!ふ、ふざけ…っ!!!」


「言い訳はあとで聞くね~♪」


「んなっ!?」


「まあまあ、あとであとで♪」



霧華さんの反論をあっさりと遮ってから、

霧華さんを抱き抱えたまま商店街を移動することにしました。


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