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何があっても
「美袋さん?」
「ええ、そうよ。」
お母さんが行こうとしていたのは翔子さんのお家だったようです。
「あ、あのね、お母さんっ!ここには私が行きたいな!」
「あら、知り合いのお家なの?」
「う、うんっ!」
「そう。それじゃあ、お願いしようかしら?今回は少し大きいから落とさないように気をつけてね。」
「うん!大丈夫だよっ!」
翔子さんのお家に届ける花束を落とすわけにはいきません。
「大切に届けるよ♪」
「ええ。それじゃあ、お願いね。」
全力で宣言する私にお母さんは花束を預けてくれました。
「今回もメモを渡しておくから、分からないことがあったら誰かに聞くのよ。」
「うん♪大丈夫だよっ♪」
何があってもこの花束は必ずお家に届けます。
「行ってくるね~。」
「ええ、行ってらっしゃい。」
急ぎ足で配達に出かける私を笑顔で見送ってくれるお母さんに大きく手を振ってから、
約2週間ぶりに翔子さんのお家に向かうことになりました。




