2度目の実験
《サイド:御堂龍馬》
ふう。
そろそろお昼を過ぎる時間かな?
武藤君と別れたあとで少し早めの昼食を終えた僕はルーン研究所に向かうことにした。
一人になってからも色々と考えていたんだけど、
どうしても心に引っ掛かるものがあったからね。
それが何なのか?
今はまだよく分からないけれど。
だからこそ。
僕はもう一度実験を行う為に研究所の手を借りることにしたんだ。
「何度も押しかけてすみません」
「ははっ、気にしなくていい。」
頭を下げる僕に黒柳所長は笑顔で応対してくれた。
「今は抱えている仕事があまり多くはないからな。君達の対応を出来る程度の余力はあるつもりだ」
「ありがとうございます」
僕の訪問を受け入れてくれた黒柳所長に感謝しつつ。
新たな実験をお願いしてみることにする。
「もう一度、実験に協力して頂きたいのですが、お願い出来ませんか?」
「ふむ。それは構わないが、まずは話を聞かせてもらおうか」
「はい」
返事をしてから、今回の目的を話し始めることにした。
「僕の潜在能力が何なのか?まだはっきりとしたことは分からないままなのですが、どうしても気になることがあるんです」
「ほう。その気になることとは?」
「僕自身が求めるもの。それはやっぱり『力』だと思うんです」
「ふむ」
顎に手を当てる黒柳所長。
その見慣れた仕種が、
黒柳所長の頭脳が全力で動き出したことを示している。
「続きを聞かせてもらおうか」
「はい。彼と戦う為に…。いえ、彼に勝つ為に。僕は力が欲しいと思ったんです」
「なるほどな。『力』か。確かにそれ自体も一つの特性と言えなくはないだろう」
「僕もそう思います。ですが、単純な力では彼に通用しないことも理解しています」
「ほう。ならば、きみの望む『力』は力であって力ではないということか?」
「かもしれません。単純な押し合いではなくて、もっと根本的な…いえ、残虐とも言える力でしょうか。僕が彼と戦うために求めるものは冷酷なまでの『暴力』です」
「なるほど、なるほど。暴力か。確かに意味合い的にもきみの支配という能力と相性は良さそうだ。だがな。能力は自らの意志で決められても、特性は意志で決められるものではない。どれだけ望んでも望んで手に入るものではないのだぞ?」
「もちろん分かっています。だからこそ実験がしたいんです。僕の予想と実験結果が等しいかどうかを知りたいんです」
そこまで話してから説明を終えた。
そのあとも顎に手を当てながら思考を続ける黒柳所長。
ひとまず僕は黒柳所長の言葉を待つことにした。
「ふむ。とりあえず実験をして見よう。きみの予想する潜在能力と実際に出る実験結果を照らし合わせればある程度の真偽は確かめられるはずだからな」
「はい。ありがとうございます」
「礼はいいが、それにしても暴力か。よく思い付いたものだな」
「ただの思い付き…と言うか、単なる偶然でしたが。その言葉が最も自分に合っているような気がしたんです」
「なるほどな。ならばきみの直感を信じて実験を行ってみることにしよう。上手く行けば彼のように一気に覚醒出来るかもしれんからな」
「はい。お願いします!」
「うむ。では実験の準備を始めよう」
立ち上がる黒柳所長と共に、再び実験場に向かって移動することになった。




