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THE WORLD  作者: SEASONS
4月7日
304/4820

新生徒番号

《サイド:近藤悠理》


…で、本日3回目の検定会場に到着。


1回目は先輩達と出会って。


2回目は馬鹿と遭遇してしまった会場なんだけど…。


はぁぁぁ…。


なんだかんだで3回目も遭遇してしまうみたいね…。


「さすがにお昼を過ぎると人が多いわね~」


混雑する受付を眺めながらため息を吐くのは翔子先輩よ。


確かに人が多いと思うわ。


見慣れた人や見慣れない人。


色んな人達が集まっていて、

ざわざわと騒がしいくらいに受付付近は混雑していたからよ。


それなのに…!


なのに…っ!!


なのにぃ!!!


何であの馬鹿はこうもたやすく私達に気付くのっ!?


絶望する私に迷うことなく一直線に駆け寄って来る馬鹿の足音を聞いただけで、

激しくため息が止まらないわ。


果てしない絶望感。


馬鹿はどこまでいっても馬鹿のままで、ドタバタと駆け寄ってくるのよ。


「悠理ぃぃぃぃぃっ!!!!!」


もう…いやぁ。


真剣に泣きたくなってきたわ。


今日はもう帰りたい。


帰って何もかも忘れてしまいたいわね…。


だけどそんな私の絶望感なんて一切気にすることなく。


馬鹿が勝ち誇ったような笑顔で接近してきたわ。


「聞け!悠理っ!!俺はとうとうやったぞ!!!」


自慢げに胸を張る馬鹿。


一体何がそんなに嬉しいのか知らないけれど。


私としては馬鹿が消えることが何よりも嬉しいのよ。


「とうとうこの日が来たんだっ!!」


絶好調の底無し馬鹿。


言いたいことがあるのなら早く言えばいいのに。


そう思う私に、馬鹿が高らかに宣言してきたわ。


「記念すべき初勝利!俺はここから駆け上がっていくんだ!」


………。


………。


………。


はぁっ!?


この馬鹿は今、何て言ったの?


私の聞き間違いじゃなければ初勝利…って。


嘘でしょ?


この最弱馬鹿が?


初勝利?


何の冗談なの?


とりあえず寝言は寝てから言いなさい。


そこまで考えて、疑いの眼差しを向けてみる。


「なっ!?悠理!?僕の言葉を信じてないだろ!!」


うん!!


全く!!


馬鹿の言葉は全力否定よ!!


心の中で大いに頷いてやったわ。


そんな私の代わりに、御堂先輩が馬鹿に歩み寄ってく。


「とうとう試合に勝ったんだね。それで、何番になったんだい?」


馬鹿に尋ねる御堂先輩。


その御堂先輩に対して、馬鹿は自慢げに『新』生徒番号を示していたわ。


ふん。


せっかくだから、一応見てあげるわよ。


私と御堂先輩の二人で馬鹿の番号を読み取ってみる。


馬鹿の番号は…


「21…39…4…番?」


は?


なに、これ…?


戸惑う私が、ふと隣に視線を向けてみると。


さりげなく頭を抱える御堂先輩の姿があったわ。


まあ、何て言うか…。


確かに嘘はついてなかったようね。


だから何なの?って話なんだけど。


それでも馬鹿は何故か自信満々の表情で勝ち誇った笑みを浮かべてた。


うん!


馬鹿だ。


こいつはやっぱり馬鹿なのよ!


改めて思う馬鹿っぷり。


さりげなく覗き込む翔子先輩が馬鹿の生徒番号を見て堂々と笑い出してた。


「え?あ、あはははっ!!何よその番号。物凄く自慢げに言うからっ、何かと思えば、あはははっ!」


一生懸命に笑いをこらえようとする翔子先輩だけど。


いっそのこと、全力で笑ってあげたほうが馬鹿の為だと思うわ。


そう思ってため息を吐いてみる。


だけどね?


こっそり私の隣から番号を覗き込んだ優奈は何故か馬鹿に微笑んでいたわ。


「おめでとう!」


はぁ!?


ちょっと優奈!


何を言ってるのよっ!?


心の中で叫ぶ私を気にした様子もなく。


「ちゃんと勝ったんだね」


優奈は馬鹿正直に勝利を祝ってた。


はあ…優奈。


あんたは人が良すぎなのよ。


色々な意味で最大級の不安を感じた私は優奈を馬鹿から遠ざけることにしたわ。


あんまり近付くと馬鹿が感染するからよ!


本気でそう考えて優奈を引き離したの。


なのに。


優奈は何故か不思議そうな顔をしてた。


ああ、うん。


もういいよ…。


もういいから…。


とりあえず馬鹿から離れよ?


ね?


心から願ってみる。


なのに。


馬鹿の暴走は止まらないみたい。


「待て悠理!!僕と勝負しろ!!運命という波に乗りに乗った今の僕なら悠理に勝てるはず!!!」


どこまでも自信だけは揺るがないわね。


どこからその自信が来るのかを知りたいわ。


だけどその前に。


私は精一杯の侮蔑の視線を馬鹿に向けてから一言だけ宣言してあげる。


「1000番早いっ!!」


千年じゃないわよ?


そこまでは言わないけど。


実際に1000番以上離れてるわけだし。


全力で宣言してやったわ。


それでも馬鹿はめげずに生徒番号を掲げてる。


「僕から逃げるのかっ!!」


何故か上から目線でモノを語る馬鹿。


私はその番号を蔑むように見据えてから、馬鹿に現実を教えてあげることにしたわ。


「うるさいわねっ!!たった『1番』上がっただけで、はしゃぎすぎなのよっ!」


全力で、はっきりと言ってやったわ。


そう。


馬鹿は確かに1勝してたのよ。


だけどね?


それは一つ上の生徒に勝っただけにすぎないのよ。


21395から21394になっただけ。


どうしてそれで私に勝てる気になるのかが分からないわ。


なんだかもう…。


何もかもが理解不可能なのよ。


「行くわよ、優奈」


馬鹿を置いて立ち去る。


「待て…って!」


それでも私を追い掛けようとする馬鹿を御堂先輩が引き止めてた。


「まあまあ、武藤君。きみの気持ちは分からなくはないけれど、悠理はすでに義務を果たしているんだ。これ以上無理をすればきみの立場にかかわることになる。場合によっては生徒指導室行きもあり得るからね。学園の校則は守るべきだよ」


大人の対応を見せる御堂先輩。


さすがにこの説得には逆らえないのか、

馬鹿はしょんぼりと背中を向けてどこかへ歩いていったわ。


よしっ!!!


馬鹿から解放されたのよ。


ようやく地獄から脱出した気分だったわ。


そして受付に向かうことにしたんだけど。


ひとまず番号の低い優奈から試合を行うことになったわ。


単純に考えれば天城総魔が最下位だけどね。


戦えば間違いなく勝つのが目に見えてるから後回しみたい。


…で。


気になる優奈の能力の確認の意味も込めて、

まずは優奈から試合に挑戦することになったのよ。


残る私達はひとまず応援係ね。


研究所での成果が気になるということもあって、全員一致でそう決まったわ。


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