殺気?
《サイド:深海優奈》
…えっと~。
…その~。
どうしてなのでしょうか?
何故かとても重い空気を感じてしまいます。
その理由はわかりませんが。
総魔さんの隣に座っている美袋先輩が怖いんです。
あ、いえ。
怖いという言い方は失礼ですよね。
そうじゃなくて…
その~。
上手くは言えませんが、
先輩の視線からは『殺気?』のようなものを感じてしまうんです。
あっ、でも。
怒っているようには見えないんです。
表情は笑顔なんです。
それなのに。
笑顔を浮かべているはずの先輩の瞳からは何故か威圧感のようなものを感じてしまうんです。
私は何かいけないことをしてしまったんでしょうか?
それとも情けない私の姿を見て本当は怒っているんでしょうか?
わかりません。
そしてそれを確認する勇気もありません。
怒られるのは苦手だからです。
なので。
先輩の視線から逃げるように、総魔さんの瞳を見つめてみました。
総魔さんは怒っているように見えません。
むしろ温かく見守ってくれているようなそんな気がします。
だからでしょうか?
ただ見つめ合うだけで心が穏やかになれる気がしました。
今はこのままのほうがいいのかもしれませんね。
美袋先輩に視線を向けるのは怖いので…
ひとまず総魔さんが話をしてくれるまでじっと待つことにしました。




