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THE WORLD  作者: SEASONS
4月7日
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面倒な役回り

《サイド:米倉美由紀》


ふう。


振り返ってみれば、あっという間だったわね。


一日がこんなにも短く感じた日は他にはないんじゃないかしら?


そんなふうに思ってしまうくらいにね。


昨日という一日は瞬く間に過ぎ去って行ったわ。


僅か一日の準備期間だけど。


とても意味のある一日だったんじゃないかしら?


彼等にとっては十分な休息だったはずよ。


私にとってはため息すら出るほど短い時間だったけどね。


御堂龍馬と美袋翔子。


そして天城総魔。


彼等の新たな戦いが今日から始まってしまうわ。


ギリギリと言って良いほど切羽詰まった状況ではあるけれど。


ひとまず大方の準備は整えることが出来たんじゃないかしら。


あとは彼等次第よ。


そして。


彼等が頂点にたどり着くまでに、

どこまで準備を進められるかは私達次第ね。


それぞれ進むべき方向性は違うけれど、目指すべき場所は同じよ。


頂点を争う戦いの場に辿り着けるかどうか?


ただそれだけなの。


彼等にしてみれば単純な実力争いだけど。


私達にしてみれば決戦の場の復旧作業ね。


崩壊した検定会場は現在も使い物にならないわ。


99位以上の生徒達は全員、足止めを受けている状況なのよ。


辛うじて崩壊を免れた試合場もあるけれど。


完全に消失した結界の再構築には当分時間がかかりそうだったわ。


数日は使い物にならないようね。


一応、問題の検定会場の予備として未使用の会場を解放する案もあるけれど。


建物の規模が小さいから上位の生徒達の試合を受け入れるには少し不安な面があるのよね…。


その結果として。


ある程度会場の復旧が終了するまで第1検定試験会場において全ての試合が停止することになってしまったわ。


そのこと自体にはあまり影響はないけれど。


復旧にかかる費用は莫大な額になっているわね。


だから緊急で開かれた昨日の理事会でも復旧の費用をどこから捻出するのか?という部分が最大の悩みの種になっていたわ。


「どうすればいいのかしらね?」


呟いてみても返事はどこからも返ってこないわ。


今は一人きりだからよ。


「はぁ…。貯蓄ちょちくを崩すしかないかしら?」


ため息が出る言葉だって自分でも思うわ。


完全なる実費ってことだしね。


もしも実行に移してしまったら当分の間は極貧生活になること間違いなしよ。


そこまで学園に財産を注ぎ込む必要があるの?


なんて。


そんな考えすら頭をよぎるけれど他に考えられる方法はないわ。


「とりあえず可能な範囲で最小限の復旧を開始するしかないわね。学園の資金で追いつかないようなら、その時は仕方がないわ」


私財の投入を覚悟するしかないわね。


出来ればしたくはないけれど。


そうも言っていられる立場じゃないのよ。


「面倒な役周りばかり回ってくるわね…。」


はあぁぁ…。


ため息が止まらないわ。


心が折れそうってこういう状況で言うのかしら?


言ってみたところでどうなるものでもないけどね。


ひとまず今は前向きに頑張っていくしかないわね。


これから始まるアレの為に。


やるべきことはまだまだ山積みだからよ。


「くよくよ悩んでも解決しないし!とにかく行動あるのみよ!」


無理やり自分に言い聞かせながら、

今日という日を迎えることにしたわ。


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