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THE WORLD  作者: SEASONS
4月6日
248/4820

きっと

《サイド:常盤沙織》


「行っちゃったわね」


「ああ、そうだね」


翔子と彼が出て行くのを見送ってから、龍馬に振り返りました。


「龍馬はどうするの?」


「うーん、そうだね。少し考えを整理したいかな?だからもうしばらくここにいるよ」


「そう」


龍馬なりに色々と考えたいことがあるようですね。


だとしたら私もいないほうが良いのかもしれません。


「それじゃあ、私は行くわね。そろそろ研究所に戻らないといけないから」


「ああ、そうだね。沙織も色々と忙しいだろうし、僕達のせいで色々と迷惑をかけることもあるかもしれないけど、だけど僕も頑張るから、だから…だからもう少しだけ、時間をくれないかな?」


………。


控えめに願う龍馬に、

私は微笑みを返すことしか出来ませんでした。


「大丈夫よ、龍馬。今までずっと忙しかったんだから。少しくらい休憩しても誰も怒ったりなんてしないわ」


好きなだけ休めばいいと思います。


急ぐ必要なんてないと思うんです。


「だから今だけでもゆっくり休んだ方がいいと思う。きっとそれが、あなたの為だと思うから」


龍馬が望むのなら、時間くらい稼いで見せます。


例え今この瞬間に何が起こったとしても。


そして誰がどこで何を言ったとしても。


龍馬が望むのなら、私は私の役目を果たして見せます。


それが私の役目だと信じているからです。


「大丈夫よ。」


声をかけてから、龍馬に背中を向けて歩きだしました。


あまり長く龍馬の傍にいると涙が出てしまいそうだったからです。


「…頑張ってね、龍馬」


ささやかな想いだけを残して、私も休憩室を後にしました。


残された龍馬がどんな顔をしていたのか、私には分かりません。


ですがきっと、笑ってはいなかったと思います。


…きっと…。


…きっと…。


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