書類の山
《サイド:米倉美由紀》
はぁ…。
「結局、ゆっくりとは休めなかったわね。」
早朝の理事長室で、私は書類仕事に追われている途中なのよ。
まだ時刻は7時を過ぎたばかりなのに、
私は日も昇らないうちから彼等の手続きの為に仕事を始めているの。
だからもうすでに、かるく2時間以上は座り続けてるでしょうね。
何だかもう、お尻が痛いわ。
延々と座ってるのって苦手なのよね…。
だけど、それ以前に手も痛いわ。
長時間の事務作業って精神的にも肉体的にもきついと思う。
でも、まだまだ終わらないのよ。
ため息が出るほど大量に積み上げられた書類の山が仕事の多さを物語っているわね。
天城総魔達が降格したことで学園に在籍している生徒全員の番号を入れ替えなくてはいけなくなってしまったからよ。
『総数2万人を越える生徒達』
その全員の番号を『3つ』底上げしなくてはいけないの。
本来なら事務員に任せるべき仕事だけど、
今回に関しては自ら望んで仕事を引き受けたわ。
天城総魔と御堂龍馬と美袋翔子。
3人が降格したのは私がそう仕向けたからで、
彼等に関して私は出来る限りの事をすると約束したからよ。
だからこの手続きは私自身の手で行わなければいけないって思ってるの。
ただひたすらに面倒だけどね。
それでもやらなければいけないって思うのよ。
でもなにより問題なのは、必要な手続きが彼等だけではないということかしら?
昨日の午後8時の時点での各生徒達の番号の入れ替えは相当な回数があって、
そちらの番号も整理しながら全ての生徒番号を書き換えなくてはいけないのよ。
各会場へ最新の番号を通知する為にも早急に書類を片付ける必要があるの。
残された時間はあと僅かで、せいぜい30分程度かしらね。
8時になれば各会場が開かれてしまうから、
その前に終わらせなければいけないのよ。
だからあと少しだけ…。
そう自分に言い聞かせて、最後の書類へと取り掛かったわ。




