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THE WORLD  作者: SEASONS
4月6日
205/4820

女子力

翌朝、午前7時頃。


沙織の家で一晩お世話になった私は朝食までいただくことになって、

今は沙織と成美ちゃんと並んで座って三人仲良くご飯を食べてるんだけど。


こうしていると毎回思うことが一つあるのよね~。


それは目の前に用意されている料理のことなんだけど。


「いつ来てもお母さんのご飯は美味しいですね」


本当にそう思うから言ってみたんだけど。


沙織のお母さんは照れ臭そうな表情で笑ってくれたわ。


「あらあら、お世辞を言っても、これ以上何も出ないわよ?」


「え~。お世辞じゃないですよ~。本当に美味しいです」


本当に美味しいから遠慮せずにテーブルに並ぶ料理の数々を食べ続けてしまうのよね…。


その結果として、食べすぎてお腹が苦しくなっちゃうのよ。


「うぅ~、苦しぃ。お腹一杯ぃ」


朝から食べるにはちょっとはしゃぎすぎたかも?


なんて幸せな後悔をしても虚しいだけだから両手を合わせて元気一杯お礼を言ってみる。


「ごちそうさまでした!」


「はい。ごちそうさまです」


沙織のお母さんも食事を終えたみたいで、手早く食器を片付け始めたわ。


当然ここは私の出番よね?


一晩お世話になった上に、ただでご飯を頂いてるわけだし。


片付けくらい手伝わないとダメだと思うのよ。


「あ、私も手伝います」


慌てて立ち上がろうとしたんだけど。


「あら、いいわよ。そろそろ学校へ行く時間でしょ?後片付けくらい気を使わなくていいから、沙織と一緒に準備しなさい」


その前に断られちゃった。


「あ~、はい…。」


特に何時に学校に行かなくちゃいけないっていう決まりはないんだけど。


そう言われてしまうとそれ以上何も言えなくなっちゃうのよね~。


何らかの恩返しをしたいとは思うんだけど。


あまり無理を言える立場じゃないし。


優しく語りかけてくれる沙織のお母さんに感謝しつつ。


沙織と二人で席を離れることにしたわ。


「それじゃあ、行こっか?」


「ええ、そうね」


隣に座っている成美ちゃんは紅茶を片手にくつろいでいるから、

ちゃんと一声かけてから席を離れることにしないとね。


「ちょっと準備してくるわね」


「は~い♪」


成美ちゃんに声をかけたあとで、私達は食卓をあとにしたのよ。


そして沙織の部屋に戻ってから今まで借りてたパジャマを沙織に返してから、

綺麗にたたんである制服に手を伸ばしてみる。


もちろん、たたんだのは私じゃなくて沙織だけどね。


昨日の夜。


お風呂上がりに沙織のパジャマを借りたわけだけど、

気が付けばいつの間にか制服はキッチリ綺麗にたたんであって大事に保管されていたのよ。


そういう心遣いというか気配りができるあたり、

沙織の女子力は高いと思うわ。


まあ、わりと適当に置いちゃう私が悪いだけかもしれないけどね。


「ありがとね~」


お礼を言ってから着替えると、沙織は微笑んでくれていたわ。


「ううん。お礼を言うのは私の方よ。翔子が成美の面倒を見てくれるからすごく助かるわ」


う~ん。


そうかな?


「それこそお礼を言われるような事じゃないと思うんだけどね~。あ~、でも、私も妹が欲しいな~」


って言うか、心の底から成美ちゃんが欲しいのよ!


一人っ子の私としては兄弟とか姉妹っていう言葉は、とてつもなく心が惹かれるのよ。


しかも、あんなに可愛い妹がいるなんて、沙織が羨ましすぎるわ!!


目が見えるとか見えないとか、そんな些細な事は問題じゃないの。


私から見ても、超絶可愛い成美ちゃん。


仕種とか言葉遣いとか、全部が可愛すぎる上に見た目だって…もう、完璧っ!!


私が家族なら、間違いなく断言できるわ!!


絶対、嫁にはやらん!


ってね。


自信を持って思えちゃうくらい、超絶可愛いのよ!


それはもう見てるだけで心癒される上に、

沙織と並べば間違いなく美人姉妹と評判になるはず。


それぐらいとてつもなく可愛いの!


まあ、本人にして見れば自分の姿がどうとか、

どんな顔をしてるとか何も分からないんだけどね。


だけど!


目が見えない事を差し引いても、ぜひとも私の妹にしたいっ!!って、

全力で思えるくらい私は成美ちゃんに夢中なのよ。


こうなるともう夢に出てくるとかその程度の話じゃないわ。


24時間ずっと成美ちゃんと一緒にいても飽きないどころか、

時間が過ぎる事さえ忘れて楽しめる自信があるくらいなのよ。


沙織には毎日呆れられるけどね。


それでもそれくらい、とにかくもう成美ちゃんが大好きなの。


だからこうして沙織の家に毎日通う事だって何の苦にもならないわ。


むしろ問答無用で押しかけたいくらいなんだけど…って、

馬鹿な事を考えてる間に沙織はとっくに準備を終えてるみたいね。


「ごめん。もうちょっと待って」


気持ちを切り替えてドタバタと準備を急いでみる。


そんな私を見て微笑む沙織はあまり気にしてないみたい。


「焦らなくても大丈夫よ」


のんびりと待ってくれる沙織の気持ちは有り難いけれど、

誰かを待たせるっていうのは私の趣味じゃないのよ。


待つのは気にならないけど、

待たせるのはすごく気になって仕方がないの。


だから急いで準備を済ませて、待ってくれている沙織に振り返ったわ。


「お待たせ!」


「もういいの?」


「うん!準備おっけ~♪」


笑顔を浮かべる私を見て、沙織はまだ微笑んでくれてる。


ん~。


どこかおかしいところでもあるのかな?


一瞬不安になったけど、何かがあって笑われてるわけじゃないみたい。


何となく、楽しそうな感じ?


そんなふうに思えたわ。


でもでも、一応気になって、さりげなく鏡を覗き込んでみる。


うん。


髪の毛がはねてるとか、そんな事はないと思う。


単純に私を見て面白かったとか、そういう感じかな?


たぶん、そういうことだと思う。


まあ、それはそれでどうかと思うけど、

文句を言える立場じゃないから何も言わないわ。


「それじゃあ、行きましょうか」


「うん」


沙織と一緒に部屋を出る。


そしてそのまま玄関に向かうと、成美ちゃんが見送りに待ってくれていたわ。


「おまたせ~」


「もう準備は良いんですか?」


「うん。ばっちりよ」


「気をつけて行ってくださいね」


「ありがと、成美ちゃん」


心配してくれる成美ちゃんも超絶可愛いく思える。


だけど朝からはしゃぎすぎるとまた沙織に睨まれちゃうから夜まで我慢しようとは思うわ。


でまあ。


その代わりに、って言うと変な感じになるけど。


沙織のお父さんとお母さんにも挨拶してから学校に行こうと思ったんだけど、

沙織のお父さんはすでに仕事に行ったみたいで姿が見えなかったわね。


お母さんは片付けの最中みたい。


奥の方からガチャガチャっていう音が聞こえて来るから、たぶん台所にいるんだと思う。


う~ん。


邪魔しちゃ悪いわよね。


一々手を止めさせるのも気が引けるから、

そっとしておいたほうがいいかもしれない。


…となると、結局、成美ちゃんしかいないわけで、

挨拶は成美ちゃんだけしかできないみたいね。


「それじゃあ、行ってくるわね」


「成美ちゃん、またね~」


「は~い!お姉ちゃん、行ってらっしゃい♪それと、翔子さんも行ってらっしゃい♪お母さんがまたきてねって言ってたよ♪」


「ありがとう、成美ちゃん。また今晩来るからね」


「うん!」


「成美、あまり無理はしないようにね」


「は~い!分かってるよ♪」


笑顔で見送ってくれる成美ちゃんにしっかりと挨拶をしてから、私と沙織は玄関を出たのよ。


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