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THE WORLD  作者: SEASONS
4月2日
18/4820

ここで再び

先ほどの試合から30分ほど経っただろうか?


検定会場を離れたあとで時計を確認してみると時刻はすでに正午に近づきつつある。


あと数分で12時になるようだ。


何気なく辺りを見回してみれば多くの生徒達が食堂に向かって行く姿も見えた。


見える範囲内だけでもこの流れができているとすれば学園中のあらゆる場所で似たような動きになっているのだろう。


この状況で次の検定会場に向かっても対戦相手として選べる生徒はあまりいない気がする。


そして戦う相手がいなければ検定会場に向かう意味がない。


ひとまず今はお昼が過ぎて他の生徒達が検定会場に戻るまで休息を兼ねて昼食を済ませておいたほうがいいだろう。


そう考えてから他の生徒達と同様に学生食堂に向かって歩くことにした。


ただ。


休息も大事だとは思うが、

それよりもまず先に試合に関して考えるべきかもしれない。


さすがに今回は余裕と言える戦いではなかったと思うからな。


苦戦とまでは言わないが余裕があるとも言えなかった。


ここまでは予定通りに順位を上げてこられたが、

これから先も同じようにはいかないだろう。


今以上の実力を身につけて試験に挑まなければ、

いずれ敗北する時が必ずくるはずだ。


そうなる前にもっと経験を積むべきだと思う。


まだ始めたばかりだからな。


焦る必要はない。


運に頼るような試合ではなくて、

実力で勝ち上がれる試合をしなければ意味がない。


ただ単に成績を伸ばせばいいわけではないからな。


強くなるという目的を持つ以上。


経験を積むことが重要になる。


多少なりとも限界が見えた現状では無理に成績を伸ばすことよりも試合の数をこなしてある程度の実力を身につけたほうが良いだろう。


今はまだ必要以上に焦る必要はない。


実力をあげてからまた改めて上を目指せばいい。


そんなふうに今後の方針を定めてから休息を兼ねてゆっくりと昼食をとろうと考えていたのだが。


ここで再び奇妙な現象が訪れた。


(気配が消えたな。)


どういう基準で行動しているのかがいまだにわからないのだが、

数分前まで確実に感じられたはずの監視者の気配が突然感じられなくなった。


そう言えば…。


確か昨日も似たような状況でいなくなっていたような気がする。


もう一度、近くにあった時計に視線を向けてみる。


時刻はあと数秒で正午を指し示そうとしている。


向こうも昼食だろうか?


監視者も人間だ。


昼食のために尾行を中断したとしても決して可笑しな話ではない。


だが、交代の人物がいるわけでもないというのが理解できない部分だ。


本当の意味で監視を行うのなら常に見張っていなければ意味がないからな。


昼食や休憩を挟んでいちいち監視を中断するようでは情報収集としてはあまり意味をなさないだろう。


だとすれば何か別の理由があるのだろうか?


それともこちらが気づけないほど優秀な密偵がどこか別の場所にいるのだろうか?


気配を隠しきれない程度の実力者を囮として別の監視がついている可能性もあるだろう。


もしもそうならこちらが気づけない以上は手の打ちようがない。


とはいえ。


そこまで手の込んだ監視を行う必要性がないような気もする。


単純に試合だけを監視するつもりなら、

一時的に目標を見失っても問題はないということなのかもしれないからな。


もしもそうだとすれば…。


もしも試合だけを重要視しているのであれば昼食のために監視を中断したとしてもそれほど問題ではないだろう。


次にどこへ向かうかは難しく考えなくてもすぐにわかる。


現時点での俺の生徒番号は16001番だからな。


この番号で先程の会場に戻る理由は何もない。


格下に試合を挑んでもらうのを待ち続けるよりも、

次の会場に進んで自らの意思で次の対戦相手を選ぶ方が効率的な考え方と言えるだろう。


だからおそらく監視者は次の検定会場で待っているはずだ。


向こうが予測しやすいからこそ、

こちらも容易に推測できる。


裏をかくのは簡単だがあまり意味はないだろうな。


あえて下位対戦を行いにさきほどの会場に戻ってもいいのだが、

次の対戦相手が決まるまでに向こうは情報を手にいれてこちらの追跡を再開するだけだ。


一時的に裏をかいたところで意味がない。


学園内にいる以上は完全にふりきることなどできはしないからな。


ならばいっそ正面から正々堂々と挑む方が現時点では最も効率がいいだろう。


好きなだけ観察させれば良い。


何も問題はない。


そう判断してから食堂に入る。


あまり急がずにゆっくりと昼食をとってからしっかりと体を休めて午前中の疲れをとった後で、

4番目となる次の検定会場に向かって歩き出すことにした。


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