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THE WORLD  作者: SEASONS
4月5日
146/4820

あと一回

《サイド:天城総魔》


「…う~ん。」


医務室を出て行った沙織を翔子は黙って見送っていたのだが、

沙織がいなくなってからもまだ出入り口を見つめ続けているようだ。


「一人で大丈夫かな~?」


心配なら一緒に行けばいいと思うのだが、

ついて行くつもりはないのだろうか?


「気になるのなら一緒に行けば良いだろう?俺もいつまでもここにいるつもりはないからな」


「あ~、うん。それはまあそうなんだけどね~」


翔子は動かなかった。


どうやら沙織を追うつもりはないようだ。


「だけど、何となく行きにくいのよね~」


ああ、そういうことか。


出来ることなら沙織と共に行動したいのだろう。


だが、これまで所属していた組織から離反したという事実があるせいで、

なかなか思うように行動できないようだった。


「会いたくない人物でもいるのか?」


「うん、まあ、ね。ちょっと、気まずいかな~」


沙織が会おうとしている人物に会いたくないのだろう。


それが誰なのかは知らないが、行きたくないというのなら無理に行く必要はないと思う。


「好きにすればいい。俺ももう行くだけだ」


これ以上ここにいても進展はないからな。


それに。


何より他にやらなければならないことがある。


「じゃあな」


ひとまず医務室を出ようとしたのだが。


「あ、待って!ちょっと待って、総魔!!」


その前に翔子に引き止められてしまった。


目の前に回り込んできた翔子が道を塞いでしまう。


「ねえねえ、このあとはどうするつもりなの?」


このあとか…。


今後の予定を問いかけてきた翔子だが、

単純に今日の予定を聞いているわけではないだろう。


残る試合はまだあと『1回』あるからな。


その試合をいつ行うのかを聞いているのだと思う。


「…そうだな。」


いまだに見知らぬ最後の生徒だが。


その生徒が会場に来ない限り、

いつまで経っても試合が出来ないことになる。


だが。


普通に考えれば1位の生徒が会場に来る事は有り得ない。


何故なら。


それ以上の上はないからだ。


会場に向かっても格下との対戦しか行われない。


となれば会場に来る理由がない。


勝って得るものはないのに負ければ降格するからだ。


それが分かっていて会場に訪れる理由はないだろう。


だから単純に会場で待っていても最後の生徒と会う事は難しいということになる。


「…どうすれば会える?」


聞き返してみると、

翔子はようやく自分の出番を得たと心の中で喜んでいたようだった。


「ふふん♪その気があるなら、話を通してあげるわよ」


翔子の言う『その気』とは試合をする気があるかどうかという意味だろう。


言葉の意味を察して静かに頷いてみる。


「おっけ~♪じゃあ、向こうには私が話してくるけど、予定はどうする?」


「任せる」


「ん~」


何か考えているようだが、

おそらく試合の時間をどうするか考えているのだろう。


その辺りに関しては俺が指定できるものではないだろうからな。


翔子か、あるいは対戦相手に任せるつもりでいる。


「翔子の好きにすればいい」


「そう?じゃあ、まあ、いっか。取り合えず向こうの予定を聞いてくるわね。集合はどこにする?もうすぐお昼だし、食堂でいい?」


「ああ、それでいい」


「うん!じゃあ、行ってくるわね」


元気よく返事をしてから、翔子は笑顔で医務室を出て行った。


その結果。


一人残された俺は時計へと視線を向けてみた。


時刻は午前10時37分だ。


約束の時間まではまだ1時間以上ある。


これからどこへ行くべきだろうか?


沙織は実験の確認に行き、

翔子は最後の生徒に会いに行った。


この状況で出来ることを考えた結果。


俺は『とある場所』へと向かうことにした。


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