厄介な能力
《サイド:北条真哉》
ちぃっ!!
魔力が奪われてるな。
それがはっきりと分かる。
今はまだ少量だが、着々と奪われていく魔力は無視できる量じゃねえ。
このまま霧の内部にいたら、いずれ全ての魔力が奪われるかもしれねえな。
そうなる前に試合を終わらせる必要があるわけだが…。
…ったく。
厄介な能力だぜ。
幾度と無く突撃する攻撃を仕掛けてみたものの。
総魔は防御に徹していてなかなか致命的な一撃が入れられねえ。
どうやらこのまま持久戦に持ち込むつもりでいるようだな。
ただでさえ面倒くさい相手だってのに。
時間をかけるだけ不利になるってのは都合が良すぎるだろ?
こいつの能力に関しては文句の一つも言いてえところだが、
叫んでみたところで流れが変わるわけでもねえからな。
そんなくだらないことに時間を費やす暇があったら何とかする方法を考えたほうがマシか。
面戸くせえが、魔力が尽きる前になんとかしねえとな。
すでに2割程度の魔力が奪われているはずだ。
槍に込めている魔力も魔剣と打ち合う度に削り取られていくのがわかる。
攻撃するたびに消費する魔力と徐々に奪われていく魔力を考慮すれば
すでに余裕がある状況とは言えねえ。
これ以上の魔力が奪われる前に。
まずは一撃、総魔に叩き込む必要がある。
とにかく今は攻め続けるしかねえか。
魔力のあるうちに決定打を打ち込むために、全力で槍を振るい続けた。




