表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
THE WORLD  作者: SEASONS
4月4日
128/4820

使い捨て

《サイド:天城総魔》


食堂を出たあと。


翔子と別れた俺は寮の自室へと戻ってきた。


時刻はすでに午後10時を過ぎているようだな。


まだ眠るには早い時間だとは思うが、

食事を終えて身支度も整えたことですでに眠れる準備は整っている。


もう少し起きていてもいいとは思うが、今日はかなり無理をしたからな。


早めに眠るべきだろう。


今は魔力を回復させることが最優先だ。


体を休めるためにベッドに横になって明日の試合について考えてみることにする。


…と言っても、現在の状況はかんばしくないな。


今日一日で魔力が底をついてしまったからだ。


時間の経過と共に多少回復してきてはいるが、微々たる量でしかない。


沙織の攻撃によって受けた傷の治療を行ったことで再び多くの魔力が失われてしまったからな。


現状の魔力では魔剣を扱うこともできないだろう。


弱体化した魔剣では高威力の魔術を斬る事はできない。


せいぜい中級程度の魔術に対応できる程度だろうか?


それではまともな戦力には数えられないと思う。


もちろん翼も使えない上にアルテマも発動できない状態だ。


かろうじて霧は展開できるかもしれないが、

弱体化した霧では防御能力に関して期待できないだろう。


現状ではどの力もまともに扱えないということになる。


この状況を改善させる方法は一つだけだ。


魔力が自然回復するのを待つしかない。


まずは一晩ゆっくりと体を休ませるべきだと思う。


ただ。


一晩休んだだけで、どの程度まで魔力が回復するのかがわからない。


出来ることなら最大まで回復して欲しいと思うが、おそらく完全には戻らないだろう。


一晩だけでは時間が短すぎるからだ。


今の俺の魔力の総量を考えれば丸一日か、それに近い時間が必要だと思う。


だとすれば半日程度で戻る魔力の量は精々半分程度だろう。


その程度では北条には届かないと思う。


「魔力が足りないな…。」


密かに抱えていた重大な問題に、ついに直面してしまったとも思う。


北条の実力はいまだに計り知れないが、

おおよその検討はすでについている。


魔力に関しては沙織よりも下だろう。


魔術師としての実力はあまり期待できないが、

ルーンを主体とした戦闘技術はこれまで戦ってきた誰よりも上のはずだ。


だとすれば。


対するこちらの状況は圧倒的に不利だ。


過大評価されて莫大な魔力を持っているように思われがちだが、実際の総量は沙織よりも少し上か同程度でしかない。


翔子や沙織や北条。


そしてまだ名前すら知らない1位の生徒。


彼等が俺をどう判断しているのか知らないが、

魔力の総量はそれほど極端に多いわけではない。


もちろん学園に来てから数多くの試合を行って成長してきたことで、

それなりの実力を身につけた自信はある。


魔力と技術共に大幅に成長したのは間違いないだろう。


だがそれでもまだ学園内において最強といえるほどではないはずだ。


幾つもの奇跡的な魔術を実現させてきたのは事実かもしれないが、

それと魔力の量は関係ないからな。


霧と翼と魔剣の展開。


そして翔子と沙織の治療。


さらに試合での魔力消費等々。


かなりの大魔術を連続使用してきたが、それは決して俺個人の魔力ではない。


実際には吸収という能力に頼ってきただけだ。


幾つもの試合で蓄えてきた魔力を消費することで勝ち進んできただけだからな。


多数の生徒から手に入れた魔力は膨大だった。


だからここまで勝ち上がれた。


蓄積してきた魔力を変換することで幾つもの大魔術を使用してきたからな。


俺自身の魔力はほとんど消費していなかった。


だからこそ。


ここに大きな欠点がある。


吸収した魔力は一時的なものであって俺自身の魔力ではないという事だ。


つまり。


吸収した魔力の蓄積と維持は出来るものの。


それはあくまでも一時的な期間だけでしかないということだ。


決して永続的なものではない。


一定時間というわけではないが、無制限ではない。


奪った魔力は何日でも維持出来るが根本的には俺の魔力ではないからな。


使えば失われる一時的な存在でしかないのが実情だ。


俺自身の魔力は休憩さえとれば回復できるが吸収した魔力は回復しない。


消費すればそれまでの使い捨てだからな。


ごく単純に消費されるだけの魔力が使った分だけ回復するという事はない。


いずれは底をつく余剰魔力でしかないからだ。


それでも奇跡的な能力である事に変わりはないと思うが、

これまで蓄積してきた魔力の全てを今日一日で失ってしまうことになった。


その事実が頭を抱える問題になってしまっている。


これまで吸収してきた魔力を全て失った状態だからな。


明日の北条との試合は自分自身の魔力だけで戦わなければならなくなったということになる。


それこそが重要な問題となる。


あくまでも予測だが。


俺の魔力を10とすれば、北条の魔力は6~7程度だと判断している。


とは言え、これは魔力が完全に戻った場合での話だ。


もしも魔力が戻らなければ減少した状態で戦うことになるだろう。


その場合の魔力の差は逆転して北条が上回るはずだ。


たった一晩で全ての魔力が回復するとは思えないからな。


間違いなく万全な状態は期待できない。


…となれば、必然的に魔力が低下した状態で北条と戦うことになってしまうだろう。


魔力の総量がそのまま試合の結果となるわけではないとはいえ、

それでもこの差は大きいとしか思えない。


北条達が俺の魔力をどう判断しているのかは知らないが、

おそらくは吸収した魔力も俺自身の力と考えている可能性が高いだろう。


これまでの行動で見せてきた魔力を考慮して、

莫大な魔力を持っていると考えている可能性が高いはずだ。


だが、実際は違う。


吸収した力は一時的なものでしかないからな。


俺自身の魔力とは言えない部分だ。


そのうえすでに吸収した魔力を全て消費してしまっている状態だ。


魔力の総量という一点で見れば、

俺と他の生徒との認識には誤差があるだろう。


実際の俺の魔力は決して多くはないからな。


治療を行った事で沙織よりも上回っている事は確認済みだが、

その程度でしかないとも言える。


圧倒的と言えるような差はないということだ。


その判断の誤差が俺にとっては有利に働くかもしれないが、

その程度のごまかしで北条を倒す事など出来はしないだろう。


あくまでも自分自身の力で勝利する方法を考える必要があるはずだ。


限られた魔力でどうやって戦うかが重要になる。


ギリギリの戦いとなると思われる北条との試合を乗り越える事が出来るかどうかで俺の実力が試されるのかもしれない。


おそらく正真正銘の真っ向勝負になるだろう。


ごまかしは通じない。


魔力の優劣は即座に見抜かれてしまうはずだ。


魔力が足りないという劣勢をどうやってくつがえすか?


その方法を考えなければ北条に勝つことはできないと思う。


まずはどの程度まで魔力が回復するかが勝負の分かれ目になるだろうな。


色々と考えなければならないことはあるが、

これからどうするにしても魔力が戻らなければ作戦の立てようがない。


今日はもう寝よう。


そして明日の朝に今後の方針を考えることにしよう。


まずはしっかりと休息をとる事が重要だ。


万全な状態でなければどんな作戦を考えても上手くいきはしないからな。


あれこれと考えるよりも今は体を休める事を優先したほうがいいだろう。


明日の試合を乗り切るために。


今日は早めに眠ることにした。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ