Day:1to7
頭の中が光であふれる。
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一月一日。年の始まりである。
こんな日にここまで弱っているのは彼だけだろう。
それでも気が付けばしっかり列にならび順番が来ていた。
初詣には毎回来ている。
そう「毎回」
周りにはカップルや家族連れが多い。
まだ30手前だが結婚の事で焦った時期もあった。
しかしそんな事を願ったのは2回前の初詣までだ。
今回もそれよりもうひとつの願いを強く願った。
これをしなければ逆に恐ろしいと考えているからだ。
「どうか困っている人を助けられますように」
軽く夕飯の買い物をしてから家に帰る。
掃除が好きなため家の中は綺麗である。
そもそも物が少ない。
椅子にドサッと腰を下ろした。
体は一切疲れているわけではないが精神的にきている。
そのまま目を閉じる。
気が付いたら次の日になっていた。
「とりあえず資料集め。そしてまとめか」
普段精神科医として仕事をしているがこれは仕事とは関係のないことだ。
自然とため息がでる。
記憶を頼りにペンを走らせたりパソコンをいじる。
印刷の音とペンが紙を滑る音だけが部屋に響く。
来る日も来る日も続け、5日が経過した。
一日の部屋とは全く別の部屋ができあがっていた。
壁一面にも資料やらグラフやらが貼られている。
「スーパーmust」
「ギフテッド」
「超能力」
「愛情不足による病気一覧」
カレンダーは7日にマーキングがされている。
「明日がひとつの山場だ」
5日間休みもあまり取らずに資料をまとめていたため疲労がたまっている。
しかし本当に大変なのはこれからである事は彼自信も重々わかっている。
少しだけ休もうとデスクを離れソファに横になる。
瞼は何百キロもあるかのように重かった。
ピッ ピッ ピピピッ ピピピッ ピピピピピピピピ
10時のアラームがなる。
この時間にもしも寝ていたらまずい、というアラームである。
もう少し資料を探すつもりだったが完全にリミットまで寝てしまっていた。
昔はアラームで起きるなんてことは大嫌いだった。
どうせ寝るならソファなんかよりベッドで寝ればよかった、とも思った。
テスト前の学生のようだ。
ソファから飛び起きて急いでしたくをした。
2か月前の今日。
全く同じ事をしていたように今日もスーパーへ足を運ぶ。
同じ事をしないと何かが変わってしまうようで恐いのだ。
2か月前と同じものを記憶を頼りに同じ順番でかごにいれる。
ここのスーパーは入口を入って正面がレジ。
右に進むと野菜コーナーがある。
そこからいくつものコーナーにわかれて並んでいる。
まずは野菜を一通り周りお菓子やパスタをかごにいれていく。
そして冷凍のコーナーへ。
大好きなうどんを手にとった時後ろから誰かがよりかかってきた。
と、いっても足にぶつかってきたため子供とわかった。
見てみるとそのまま小さな体は床に倒れた。
彼の体はガリガリである。
体の調子をうかがうとどうやら熱があるようだ。
精神科が専門であるが普通の病気の基礎知識は持っている。
1.2分で少年は目を覚ました。
「だ・・・れ・・・?」
とても小さな声だが体からしぼって声をだしているのがわかる。
「君は僕に寄り掛かるように倒れたんだよ。おそらく熱があるけど今日は一人で来たのかい?」
少年は答えなかった。
体を起こすとふらふらしながらも帰ろうとする。
「こんなふらふらな君を放っておくわけにはいかない。病院にいったり僕の家に来るより君の家に送り届けたほうがいいだろう?」
少年は黙っていたが少ししてから頷いた。
少年をおんぶして会計を終えると彼の家へとむかった。