依頼
昼休みになると弁当を持って屋上に向かう。しばらく待つと城島さんと伊吹が来た。
「おっ、来たな」
「…あの。今回はよろしくお願いします」
お嬢様という事もあって流石は礼儀正しい。それに可愛い。パーマが掛かっているのか茶色の髪がクルクルとしてて瞳もパッチリしている。背は日和より低い。白の上品なリボンが付いたカチューシャをしている。
「あぁ。話しは食べながら聞くぜ」
腹が減っては何ちゃらだ。
俺は目の前の弁当に我慢出来なくて食い付いた。
「ふぅ〜。腹一杯」
「悠心ったら、結局ただのお昼になっちゃったじゃない。話しを聞くんじゃなかったの?」
「うっせー……これから聞くんだよ。それで城島さん、伊吹に話した事を俺達にも教えてくれ」
「……はい」
城島さんは一回伊吹を見た後、俺を見てゆっくりと話し始めた。
「城島財閥には自宅とは別に数々の別荘を持っているのですがその一つに私の姉が住んでいる別荘があるのです。その別荘の近くで最近…殺人事件があったらしく、姉は心霊現象に悩まされているそうなんです」
「…つまり、城島さんのお姉さんが幽霊に取り憑かれてるって事だよな。何でそう思うんだ?」
「姉が…怯えて部屋から出て来ないのです。昔はよく一緒に遊んだりしました」
「それじゃ、城島さんに聞くけど城島さんはお姉さんに取り憑いてる幽霊を見た事ある?」
「ゆ、幽霊ですか…………いえ、ありません」
城島さんは考える素振りを見せて考え込んでたけど無いと答えた。
「…そのお姉さん、可哀想だよ。助けてあげようよ悠心」
「…………そうだな。分かった、引き受けるよ」
気になる事もあるけど引き受ける事にした。
引き受けると言った瞬間、城島さんの笑顔が輝いていた。
「ありがとうございます! 急にで申し訳ないのですが今週の土日、別荘に泊まり込みというのはいかがでしょうか?」
「え、泊まり込み!?」
「妃ちゃんの別荘に泊まり込み! 大丈夫? 迷惑じゃない?」
「迷惑ではありませんよ。姉の承諾も取っています……早瀬君、凪雲さん、天羽君。どうかよろしくお願いします」
そう言って城島さんは頭を下げた。
城島さんがお姉さんを助けたい気持ちは分かった。俺に救えるか分からないけど幽霊が見えるこの目で城島さんのお姉さんも、幽霊も助ける!