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Ⅲ-7 幕間
リィィン、リィィン。
公園でニキと別れている最中、周囲の騒音に打ち消されながら小さく短い電子音が鳴り響き携帯端末が揺れる。
クロは気付かない。ニキは既にいない。
悲鳴や怒声に紛れて震える携帯端末――その画面には、人知れずメッセージが残されていた。
《私は私の仕事を終えた。キミの義妹は右腕を取り戻し、容態も安定している。もう何も心配ない》
クロを安心させる一言、そして直前の安心を引っ繰り返す言葉が続く。
《付き添いはキミらの友人と鳥に任せ、私は旧友の忠告に従ってこの場を離れる。キミは早く帰ってきなさい。手遅れになる前に》
ジャック医師からクロに、簡潔で一方的なメッセージ。
しかしクロは気付かない。
ただ眼前の脅威に振り払う為、その体を動かすだけであった。




